【NQNニューヨーク=岩切清司】17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反落した。終値は前日比2ドル18セント(0.0%)安の1万5371ドル65セント。前日に債務不履行(デフォルト)の回避を期待した買いで大幅上昇した後だけに、利益確定売りが出た。ダウ平均採用銘柄が決算内容を嫌気した売りに押されたことも重荷になった。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和継続への期待感が根強く、引けにかけて下げ幅を縮小した。
16日夜に米議会が債務上限に関連して国債発行継続を容認する法案を可決。米国は当面のデフォルトを回避した。ただ前日の相場がすでにこうした展開を見込んだ先回り買いで上げていたため、17日は好材料が出尽くしたとして売りが先行した。
IBMやゴールドマン・サックスといったダウ採用銘柄が発表した減収決算が市場の失望を誘い、売られた。これら値がさ株は指数の値動きへの寄与度が大きいことから、ダウ平均の下げ幅は一時144ドル程度に達した。
一方で債務上限問題などは当面先送りしたにすぎず、来年1~2月ごろに再び財政問題を巡って政治が混乱する可能性がある。2週間以上に及んだ政府機関閉鎖が足元の米景気に悪影響を与えていることもあり、FRBが現行の量的金融緩和を当面続けるとの期待感が高まった。下値で押し目買いが入ると、ダウ平均は次第に下げ幅を縮小した。
ダウ平均以外の主要株価指数は上昇した。
多くの機関投資家が運用の参考指標とするS&P500種株価指数は続伸。前日比11.61ポイント(0.7%)高の1733.15で終え、過去最高値を約1カ月ぶりに更新した。
ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も続伸。23.72ポイント(0.6%)高の3863.15となり、2000年9月20日以来、13年ぶりの高値を付けた。
10月のフィラデルフィア連銀景気指数や週間の新規失業保険申請件数など経済指標の相場への影響は限られた。
業種別S&P500種株価指数は全10業種のうち「IT(情報技術)」を除く9業種が上昇。「電気通信サービス」や「公益事業」の上げが目立った。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約7億6000万株(速報値)、ナスダック市場は約19億株(同)。
ダウ平均採用のIBMが6%安。前日夕に発表した四半期決算で減収傾向が続き、売られた。この日朝に決算発表した金融大手のゴールドマン・サックスも安い。債券を中心に取引部門の低迷が嫌気された。総収入が市場予想に届かなかった医療保険のユナイテッド・ヘルス・グループも下落した。この3銘柄でダウ平均を約126ドル押し下げた。
一方、携帯電話事業の収益拡大で大幅増益となった通信のベライゾン・コミュニケーションズが高い。増益決算が好感されたクレジットカードのアメリカン・エキスプレスも買われた。
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