学徒出陣70年:「生還期せず」重い戦後 答辞の江橋さん
毎日新聞 2013年10月20日 22時09分(最終更新 10月21日 00時56分)
学徒代表という重い十字架を背負い続けた70年。戦争を始めたことも、負けると分かっているのに学生を動員したことも、愚かなことだったと今は思う。
あの日の答辞は1日で書き上げた。教授に添削されたが「生還を期せず」は自分で考えた言葉だった。「最大の誤りを犯しているのに、マスコミも国民も、自分も軍部の意向に乗った」
泣く泣く兵隊になった学生もいた。自分より優秀な学生もいたが、大勢が亡くなった。自分が話すことが、何も言えずに亡くなった人の供養になる。最近そう思っている。
【ことば】学徒出陣
太平洋戦争の戦況の悪化に伴い、1943年10月、主に文科系の学生らを対象に徴兵猶予が停止された。学生らは陸海軍に入隊後、短期間の教育を受けて下級将校となった。出征したり、特攻隊員になったりして戦死した人も多い。出陣学徒の総数は10万人を超すとも言われるが正確な数は分かっていない。