【小池竜太】東京電力は20日、大雨の影響で、福島第一原発の汚染水をためたタンク群を囲む堰(せき)の内側にたまった水が12カ所であふれた、と発表した。台風26号の際は、急な水位上昇から事前に示した手順を省略して排出したが、今回は作業自体が追いつかなかった。

 排水のためにつくった放射性物質の基準値を超える水があふれた可能性がある。東電によると、あふれているのを確認したのは、午後4時20分ごろから。台風26号が通過した16日以降、堰内には水が残っており、放射性物質の濃度が高かった区画を優先して水を一時貯蔵タンクなどに移していた。福島第一原発の南にある福島県富岡町では午後2時からの3時間で88・5ミリの降雨が観測されている。

 あふれた水の量や放射性物質の量は分かっていないが、先月以降の堰内の水の測定結果によると、12カ所のうち最も高い1カ所では、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1リットルあたり2万9千ベクレル検出されていたという。ほかの区画は同6ベクレルから同4600ベクレルだった。

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