動物病院で猫に処方される薬としてステロイド剤[携帯版]以上に多いのが「抗生物質」です。抗生物質は眼にみえて分かる副作用を生じさせることは少ないものです。抗生物質を処方された場合、ステロイド剤に対するような抵抗感を示す方もまだ多くはありません。そこで本来であれば必要とはいえないにもかかわらず抗生物質を「とりあえず」出されたり、注射されることもあります。そのため薬剤名をお聞きして獣医師にイヤな顔をされる率が高いのも抗生物質です。
●基本的なこと
「抗生物質とは何か?」についてはメルクマニュアル家庭版(人間用)が、「抗生物質が細菌だけに作用する仕組み」については抗菌薬(抗生物質)@動物のくすりが参考になります。
これらをお読みいただければよく分かるように、抗生物質は対象とする特定の細菌にしか効果がありません。また「薬剤の効果は、血流への吸収速度、感染部位への到達量、代謝速度などによって変わる」ので、人用の薬を猫に使う場合には必ずしも同じ効果が得られるわけではなく、異なった危険性が生じる可能性もあることに注意が必要です。
猫は抗生物質の投与に過敏に反応することがあります。人間や犬と異なった代謝機能を猫が兼ね備えていることとも関係があるようです。
適切な抗生物質の投与がなされると、おおむね5~7日間で効果が見られます(症状が治まっても指示された投与日数によって細菌を死滅させる必要がありますから自己判断で投薬を中止してはいけません)。適切な薬剤を選択できてない場合や抗生物質の適応症ではない場合には、同薬剤を追加投与しても効果は得られません。
●獣医療での幅広い利用
獣医師はさまざまな疾患の猫に抗生物質を利用します。人間用の抗生物質だけではなく動物用の抗生物質も利用しています。
人間用の抗生物質を利用する場合は、上述のように、人間や犬と猫との代謝が異なるため、獣医療臨床のなかで治験を重ねたうえで人間用の薬を猫に投与することが望ましいことは言うまでもありません。
他方、動物用の抗生物質は牛を対象として作られたもの、犬や猫を対象として作られたものがあります。それぞれ研究・開発・治験・臨床の各段階で対象とした動物に対する薬効を検討していることが予想されます(そこで「犬用」の薬剤は文字通り「犬用」に開発されており「猫用」ではないことに注意を払う必要があります)。
●副作用は?
上述のように、抗生物質の投与によって顕著な副作用が生じることはそれほど多くはありません。
しかし副次的に生じる作用がまったくないわけでありません。
まず胃腸障害があります。抗生物質が胃や腸内の常在菌環境に影響を及ぼした場合に嘔吐や下痢が起こります(※追記※ 下痢に対してはビオフェルミンR〈成分名:耐性乳酸菌〉などの整腸剤を食事に混ぜることで予防が可能なこともあります)。
また肝機能障害も起こりえます。代謝を担う肝臓に負担がかかり、症状が酷い場合には肝疾患を引き起こします(※追記※ 肝臓への負担が軽度の場合は人間の目からは症状を見分けることができないことがあります。なんとなく元気がない、食欲がない、嘔吐をする、嘔吐が断続的に続く、嘔吐物に黄土色の胆汁が混じる、眼の白い部分や歯茎に黄疸がでる‥と程度が重たくなるにつれようやく人間は「猫の体調がおかしい」と気づくことができます)。
重大な副作用にはストレプトマイシンによる聴覚や腎臓障害(参照:動物のくすり)やペニシリン系の抗生物質の場合に生じうるアナフィラキシーがあります。後述のように死亡したという報告のある薬剤もあります。抗生物質を漫然と使うことで耐性菌を出現させてしまうこともあります(参照:薬剤耐性菌)。
これらの抗生物質の副作用や危険性についての注意を正確に促す先生はまだ多くはありません。また、正確な薬剤名を患者さんにお伝えする獣医師は徐々に増えてきているものの、薬剤名をお聞きした患者さんにイヤな顔をしてしまう獣医師もいます。
転院をした場合や担当獣医師が変わった場合にこれまで利用したことのない抗生物質を投与する必要が生じることもありますから、投与された薬剤名を必ずお聞きして記録しておくようにします。
●猫に使われる抗生物質とは?
猫に使用されることの多い抗生物質は多種多様です。よく見受けられるもの、実際に使用したことがあるものを商品名によって分類します。[犬猫用]と併記のないものは人間用の薬剤です。人間用の薬として歴史のある抗生物質の方が新薬に比べて猫への臨床結果が多くあり比較的安定して使うことができると考えられています。
いずれの薬剤も人間用の薬の場合は医師の処方箋により調剤薬局で購入可能なものばかりです。動物用の場合も獣医師の処方により購入可能なもののみを記載しています。各薬の添附情報は医薬品医療機器総合機構の医療用医薬品添附情報検索ページをご利用ください。
なお投薬後に猫さんの食道に薬がはりつくことにより生じる食道炎にもご注意ください。投薬時に療法食を利用したり、投薬後に水やスープなどを飲んでもらうことによりすみやかに薬を胃に落とし込む必要があります(投薬補助の療法食はこちら[携帯版])。
※手元に同じ薬を持っている場合でも獣医師の診断なく目分量で動物に薬剤を投与することは危険です(最悪の場合は失明、死亡などの重大な結果を伴う副作用が生じる可能性があります)からお止めください。動物用薬の副作用報告があるのに対して人間用薬の場合は報告義務がありませんから正確な情報がないだけで安全とは言えません。
◆内服薬の場合
◇テトラサイクリン系
・ミノマイシン‥成分名塩酸ミノサイクリン。耐性菌が多い。
・パルドマイシン‥成分名塩酸ドキシサイクリン。
・ビブラマイシン‥成分名。比較的耐性菌が少ない(参照:お薬110番)。投薬時の気道狭窄に注意(参照:日本ベッツグループ no.56)。
◇セフェム系
・シンクル‥成分名セファレキシン。
・ケフレックス‥成分名セファレキシン。
・セフゾン‥成分名セフジニル。
・メイアクト‥成分名セフジトレンピボキシル。
・セファレックス錠‥成分名セファレキシン。効力持続型で12時間ごとの服用。
◇ペニシリン系
・アモキシシリン(カプセル)‥成分名アモキシシリン(amoxicillin)。
・パセトシン錠‥成分名アモキシシリン(amoxicillin)。
・オーグメンチンS錠‥成分名アモキシシリン(amoxicillin)。クラブラン酸カリウム複合剤。
刻印は 「KH 815」
◇マクロライド系
・クラリス・クラリシッド‥成分名クラリスロマイシン。*1
・ジスロマック錠 zithromax‥成分名アジスロマイシン。効力持続型。*2
◇キノロン系
・タリビッド錠(お薬100番はこちら)‥成分名オフロキサシン。薬価が高額(98.2円/錠)。動物用タリビッドについては動物用医薬品データベース参照のこと。
・シプロキサン錠‥成分名塩酸シプロフロキサシン。薬価はやや高額(68.00円/100mg1錠) 。
・バイトリル錠[犬猫用]‥成分名エンロフロキサシン。→製品概要 *3
・ゼナキル錠[犬猫用]‥成分名マルボフロキサシン。*4
ゼナキル(右):刻印は「PFIZER」「25MG」
◇ニューキノロン系
・ジスプロチン錠 ‥成分名塩酸シプロフロキサシン。
・クラビット錠‥成分名レボフロキサシン。
・バクシダール錠‥成分名ノルフロキサシン。
・ビクタス[犬猫用]‥成分名オルビフロキサシン(写真参照:オダガワ動物病院)。→副作用報告@動物医薬品検査所。
刻印は「CX 100」
◇その他
・ダラシン(カプセル)‥成分名クリンダマイシン(リンコマイシン系)。
・ホスミシン‥成分名ホスホマイシン。
・ファロム‥成分名ファロペネムナトリウム。ペネム系。
・トリブリッセン錠[犬猫用]‥主成分スルファジアジン。サルファ剤。480の用法用量・副作用等。30の用法用量・副作用等。30と480の詳細情報。120の副作用情報。
・動物用医薬品の錠剤及びカプセル剤に係る資料 [PDF]★リンク切れ★@動物医薬品検査所‥商品名、会社名、成分名、包装材料、外形等の一覧です。
◆注射薬の場合
・セファメジンα注射用‥セフェム系。術後感染予防薬。動物用もあり[牛]。
・エリスロマイシン[動物用]‥主成分エリスロマイシン 。用法用量・副作用情報等。マクロライド系。
・タイラン[動物用]‥成分名タイロシン。マクロライド系。
・ユナシリン注[動物用]‥成分オキシテトラサイクリン 。テトラサイクリン系。術後感染症の予防。
・バイトリル[犬猫用]‥成分名エンロフロキサシン。キノロン系。→製品概要
・ビクタス[犬猫用]‥成分名オルビフロキサシン。ニューキノロン系。→副作用報告@動物医薬品検査所。
・コンベニア[犬猫用]‥主成分セフォベシンナトリウム。セファロスポリン系持続型。2007年8月21日発売。→c.f. コンベニア注-専門家に聞く[All About] [web魚拓]
・クロロシン[動物用]‥主成分クロラムフェニコール。ホモスルファミン、デキサメサゾン配合。サルファ剤。用法用量・副作用等。
・トリブリッセン注射液[犬猫用]‥主成分スルファジアジン、トリメトプリム。サルファ剤。用法用量・副作用等。詳細な副作用情報はこちら。
・アンドリアシン注‥アントラサイクリン系抗腫瘍性抗生物質。成分塩酸ドキソルビシン(劇)。参照:ドキソルビシン(アドリアシン:協和発酵) @日本獣医がん研究会
◆外用薬の場合
◇軟膏
・ゲンタシン軟膏‥アミノグリコシド系。
・エルタシン軟膏‥成分名硫酸ゲンタマイシン。アミノグリコシド系。
・テラマイシン軟膏‥テトラサイクリン系。
・テラ・コートリル軟膏 ‥テトラサイクリン系。ステロイド剤の「ヒドロコルチゾン」も配合。
・ビクタスS MTクリーム[犬猫用]‥成分名オルビフロキサシン。ニューキノロン系。トリアムシノロンアセトニド配合。
◇点眼・点鼻
・ゲンタシン点眼液‥成分名硫酸ゲンタマイシン(劇)(出典:三光アニマルクリニック)。アミノグリコシド系。
・リフタマイシン点眼液‥成分名硫酸ゲンタマイシン(劇)。アミノグリコシド系。
・トブラマイシン点眼液‥成分名トブラマイシン(tobramycin)。アミノグリコシド系。
・テトラゾール油性点眼・点耳液‥テトラサイクリン系。塩酸オキシテトラサイクン・酢酸ヒドロコルチゾン複合剤。
・タリビッド点眼液‥成分名オフロキサシン。キノロン系。
・クラビット点眼液‥成分名レボフロキサシン。キノロン系。
◇眼軟膏
・エコリシン眼軟膏‥成分名エリスロマイシン・コリスチン配合。マクロライド系。
◇歯科用軟膏
・ペリオクリン歯科用軟膏‥成分名塩酸ミノサイクリン。テトラサイクリン系。薬価656.70と高額。*5
●副作用への対策は?
◆投薬内容を把握する
まず何よりも大切なことは、自身の猫に投与されている抗生物質の種類を把握することです。抗生物質を投与する理由、投与する薬の名前(商品名)と成分(何系に属するのか)、投与量を把握することです。
投薬されているものが何か分からなければ、転院先の獣医師も手探りでの治療と副作用対策から始めなければならず、猫さんの身体やご自身の気持ちにも負担が大きくなります。
投薬時に獣医師に「何を」「どれだけ」「なぜ」投薬するのかをお聞きすることが大切です。薬剤に慣れ親しんでいなければ意味をもって名付けられているはずの薬剤名も記憶に残り難いです。ご自身でメモに残しておくか、先生や受付の方に紙に書いていただくと間違いが減ります。
その際には、抗生物質を利用した場合、症状を抑えるだけ(=対症療法)なのか? 症状の原因となっている疾患との関係はどのようなものか? 万が一にも投与後に副作用が起きた場合はどうするべきか? についても詳しくお聞きするとよいでしょう。
◆副作用に対して心構えをする
薬剤には副作用がつきものです。しかし抗生物質を利用した場合の副作用の予防・発見・治療について、十分な説明をする獣医師はそれほど多くないことは前述した通りです。
そこで、
・副作用を理解する
・副作用の前兆をできるだけ早期に発見する
・副作用を治療する
・疾患の治療も継続する
ことが重要になります。
副作用についての説明、副作用が生じた場合の副作用症状とその場合の対処方法と連絡方法、もともとの疾患の治療方法について、できるだけ詳しく担当の先生からご説明を受けることが必須になります。
◆自分でできる対策は?
このほか患者さん自身が積極的にとれる対策もあります。
まず処方されるときに薬剤名をしっかりお聞きすることが何よりも大事です。なぜなら多くの場合は「抗生物質を出しておきますね」「抗生物質を注射しておきますね」で済まされてしまう場合が多いからです。
つぎに副作用の前兆をなるべく早期につかむことです。
動物病院で出された薬剤を初めて投与した後や動物病院で注射していただいた後は、しばらくのあいだ猫から目を離さないことが大事です。
下痢や嘔吐のときはいったん投与を止めることに症状が治まることが多いですから、心を落ち着けて速やかに動物病院に連絡のうえ対処方法をお聞きしましょう。
肝臓に障害が起きた場合やアナフィラキシーを起こした場合などは自宅で応急処置を行うことは困難です。すみやかに動物病院に運び(あるいは往診していただき)治療を受けなければ予後が厳しくなる可能性が高くなります。
また普段の通院時から処方された薬剤名と投与時間を簡単なメモに残しておくことも大切です。記録管理のために猫さんノートを作っておくことと便利です。記載面に余裕があれば、投与した薬剤と投与量・投与時間に加えて、食べたもの、すこし気になった猫さんや排泄物の様子、お天気なども書いておくと、後年になって思いもかけないところで役だったりします。慣れてしまうと面倒にもならなくなります(^_^)ので作成をオススメします。
●最後に
抗生物質はステロイド剤ほどには気を遣わずに投与されることも少なくありません。しかし無駄な処方や投薬は猫さんの肝臓に少なからぬ負担をかけます。必要な時に抗生剤が効かなくなるのも非常に困ります。対症療法として必要な抗生物質なのか、症状の原因となっている疾患に対する処方なのかを見極めることも大切です。
なお、繰り返しになりますが、手元に同じ薬を持っている場合でも獣医師の診断なく目分量で動物に薬剤を投与することは危険です(最悪の場合は失明、死亡などの重大な結果を伴う副作用が生じる可能性があります)からお止めください。動物用薬の副作用報告があるのに対して人間用薬の場合は報告義務がありませんから正確な情報がないだけで安全とは言えません。
末筆になりましたが‥うちの猫さんたちの治療にあたってくださった先生方、いまも治療にあたってくださっている先生方と動物病院のスタッフの方々に心より感謝申しあげます。とりわけ大学病院での通院治療中に貴重な時間を割いてどんな疑問に対しても一生懸命丁寧に分かりやすく教えてくださった先生方の存在をいまなお有り難く思っています。そしてこの拙文をお読みいただいた皆さんが猫さんの治療を納得してすすめていくことができるようにと祈念しております。
[参考になるページ]
●抗菌薬・抗生物質 < 動物のくすり @東京大学獣医薬理学教室
‥動物に使われてる人間薬について簡潔にまとめています。
●+獣医のペット病院ウラ話!?@ビーグル獣医
・抗生物質[web魚拓]
・抗生物質の種類[web魚拓]
・その名も抗生物質獣医![web魚拓]
●小児科医のホンネ@増田こどもクリニック
・困った問題なんです・・・「薬剤耐性菌」
・こどもに使いたくない薬
●Mking's Annex
@松木直章助教授(東京大学大学院獣医学専攻獣医臨床病理学教室)
‥東大附属家畜病院の学生・研究生向けの「犬と猫の内分泌疾患ハンドブック」をdownloadできます(現在のバージョンは:2008.10.02版です)。同ハンドブックによると猫の医原性糖尿病は多く「ステロイド製剤だけでなく、さまざまな薬物が糖尿病をもたらす可能性が知られている。」(2008.10.2版10頁)そうです。
[注釈]
*1 「‥アレルギーが関与している場合は抗生物質のみの治療によって症状の寛解が得られることはなく、副腎皮質ステロイドホルモン剤に反応する。そのために重要なことは、適切な抗生剤を選択することであり、とくに慢性期のものでは、Mycoplasma spp.感染を考慮してクラリスロマイシンなどの細胞内寄生体にも有効な抗生物質を選択すべきである。」増田健一(当時:東京大学大学院農学生命科学研究科獣医内科学研究室[助手])「ネコ喘息へのアプローチ」4頁。
→☆参照:猫がアレルギー[携帯版]
猫の喘息[携帯版]
*2 ジスロマック錠は猫の難治性口内炎の対症療法に処方されることがある。
もっとも、アジスロマイシンは「獣医領域での使用は少ない。副作用は明らかになっていない。高用量で嘔吐、下痢が認められることがある。」「主にネコの上部気管細菌感染に用いられる。一般試験では効果が示されているが、規定の臨床試験は行われていない。」Mark G. Papic著、尾崎博監訳『最新 獣医治療薬マニュアル』2頁。→☆参照:口内炎治療におけるジスロマックの服用について@だいじょうぶ?マイペット(2008-06-06回答)
特徴として3日連続投与で7~14日効果が持続する(そのため副作用が生じた場合の対応に苦慮する可能性がある)。小児用のカプセルや細粒もある(参照:お薬110番)。重大な副作用として重大な肝機能障害・心疾患の報告がある@人間(参照:「ジスロマック:肝炎などの重大な副作用追加@日経メディカル オンライン2006年7月6日[web魚拓])。
→★参照:[ジスロマックカプセル小児用100mgの添付文書]・[ジスロマック細粒小児用の添付文書]・[ジスロマック錠250mgの添付文書]・[ジスロマック錠600mgの添付文書]
*3 バイトリルの適応は尿路感染症。1日1回5mg/kgを投与。副作用として嘔吐や食欲不振、流涎等、失明等の視覚障害の報告あり。併用薬のない死亡例もある(平成19年4月20日報告)。相互作用としてテオフィリンとの併用によりテオフィリンの血中濃度を上昇させる(テオフィリンを減薬投与)、非ステロイド性消炎鎮痛剤との併用でまれに痙攣発現との報告あり。出典:農林水産省動物医薬品検査所・動物用医薬品等データベース。製造販売元の製品概要はこちら。
[2008-01-12追記]
バイトリルの併用時に注意すべき薬剤として上記のテオフィリンのほかにスクラルファート(同時に投与するとバイトリルの体内吸収をスクラルファートが阻害してしまうので投与時間を少なくとも2時間離す)と内服によるシクロスポリン(併用によりシクロスポリンの腎機能障害という特性が憎悪する)があります。出典:Enrofloxacin @ANIMAL PHARMACY CENTER。→☆参照:猫にシクロスポリン[携帯版]
*4 ゼナキル錠の適応は細菌性皮膚感染症 。1日1回体重2.75~5.5mg/kgを5~7日間経口投与(原則)。症状を観察した上で追加投与が必要と判断された場合のみ投与開始から14日を上限として追加投与可能。副作用として嘔吐、元気消失、食欲減退、下痢など、高容量の投与でアレルギー様反応(耳介の発赤等)がある。同25錠の適用外使用で副作用報告(死亡)が1件ある(平成19年4月12日報告)出典:農林水産省動物医薬品検査所・動物用医薬品等データベース。
*5 ペリオクリン歯科用軟膏は歯科用抗生物質製剤で適応は歯周炎組織炎。動物(犬)用の「ペリオケア歯科用軟膏」(現在は販売なし)も同内容とのこと。猫の難治性口内炎の対症療法として使われることもある。高額な薬価(656.70円 /10mg0.5g1シリンジ) と薬剤を猫の歯肉に注入する手技が必要。猫の口腔内疾患への適応に疑問があるとの指摘もある。
→★参照:[ペリオクリン歯科用軟膏の添付文書]
※はじめてこのblogにいらした方は[はじめに・携帯版]をご覧ください。
[追記]
・2008-10-02 松木先生の「犬と猫の内分泌疾患ハンドブック」更新@2008-10-02にともない、注釈の該当ページ数と内容を確認してupdateいたしました。バイトリルの製造元での情報リンク(製品概要)を追加しました。
・2008-09-13 画像を追加しました。シプロキサン錠をニューキノロンからキノロンに移動しました。ニューキノロンにジスプロチン錠を追加しました。
・2008-09-11 *2 獣医領域でのアジスロマイシンの利用について追記しました。本文中から注釈へのアンカーをつけました。
・2008-08-24 本文中に下痢予防について追記しました。
・2008-07-25 *2 猫の難治性口内炎に対するジスロマックの利用という対症療法についてのだいじょうぶ?マイペットの質疑応答へのリンクを貼りました。
・2008-04-27 ペリオクリン歯科用軟膏の添付文書、ジスロマック錠等の添付文書へのリンクを各々の注釈部分に貼りました。その他の医療用医薬品の添付文書は文頭に記載しております、添付文書検索@独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 をご利用くださいませ。
・2008-04-15 歯科用軟膏ペリオクリンの詳細を拝見できるリンク先の他サイト様がメンテナンス中となっていたため別サイト様にリンクを張り替えました。
・2008-03-31 コンベニア注の参照サイトをひとつ付け加えました。動物用医薬品検査所のURL変更に対応しました。同所に公開されていた「動物用医薬品の錠剤及びカプセル剤に係る資料」へのリンク切れを確認しました(新サイトで検索したところヒットしませんでした)。リンクの変更が生じたため楽天ブログのエントリーを削除してFC2での更新に一本化いたしました。
・2007-11-07 ◇その他の抗生物質にホスミシンを追加しました。
・2007-11-03 ◇セフェム系の抗生物質にシンクルを追加しました(うちの1猫さんにアレルギー反応がでた薬のひとつ)。
・2007-10-31 ◆内服薬の場合に◇テトラサイクリン系の抗生物質二種を追加しました。
・2007-10-30 ◇点眼・点鼻にオルガドロン点眼・点耳液を追加しました。◆注射薬にユナシリン注[動物用]を追加しました。
・2007-10-26 ◆注射薬の場合に・抗腫瘍性抗生物質を追加しました。
・2007-10-25 ◆外用薬の場合 に◇歯科用軟膏を追加しました。また医療品医薬品添附文書の検索ページにリンクを貼りました。
・2007-10-22 動物用医薬品副作用等情報集に掲載されている抗生剤を追加して該当部分へのリンクを貼りました(◆注射薬の場合 商品名:エリスロマイシン[動物用]、クロロシン[動物用])。ステロイド剤配合の商品を明確にしました(◆外用薬の場合 商品名 ビクタスS MTクリーム[犬猫用]、同上クロロシン)。その他(◆内服薬の場合)に動物用医薬品の錠剤及びカプセル剤に係る資料 [PDF]へのリンクを追加しました。