名古屋グランパスは20日、宮城県多賀城市内のグラウンドで『東日本大震災復興支援サッカーイベント』を行った。前日の仙台戦でベンチ入りした日本人選手のうち右膝痛のDF田中隼を除く14人と、前夜の飛行機で駆けつけた選手会長のGK西村の計15人が、2チーム計約120人のサッカー少年と交流。前日の仙台戦で敗れて公式戦7試合勝ちなしのグランパスは、被災地の子どもたちの笑顔に逆に元気づけられた。
ほんの1年ほど前までは大きながれきの山に囲まれていたグラウンドが、笑顔であふれ返った。グランパスの選手15人が姿を見せると、子どもたちは大歓声。約40分のサイン会に続いて行われた約1時間のミニゲームでは、雨でびしょぬれになりながら全力でプロにぶつかってくる子どもたちの姿に、選手たちも自然とプレーに熱がこもった。
仙台市の北に位置する多賀城市は、東日本大震災の津波により188人が亡くなった。参加した鶴ヶ谷サッカースポーツ少年団のある地区は建物の1階ほどの高さの津波に襲われ、練習グラウンドは津波で破壊。避難所や仮設住宅での生活を余儀なくされ、1年ほど活動を休止することとなった。ただ、これまでプロ選手の訪問は少なく、Fリーグ・名古屋オーシャンズの森岡と、横浜Mの元日本代表DF中沢が来ただけだった。
「みんなで来られたことが良かった」と楢崎が話したように、グランパスとして行ってきた被災地支援活動はほとんどが遠く離れた名古屋でのもの。玉田も「こういうところにはなかなか来られない。子どもの純粋さが好きだし、それに応えるようなプレーをしていきたい」と語った。
この日のために駆けつけた西村は「逆に僕たちも笑顔にしてもらった」と勇気づけられた。9月以降白星がなく13位に沈むチームにとって、サッカーを楽しむ気持ちを思い出させてくれた2時間。選手を代表して西村が「ベガルタの次にグランパスを応援してください」とお願い。子どもたちのためにも残り5試合、ぶざまな姿は見せられない。 (宮崎厚志)
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