放射能汚染木材:高島の河川敷、チップ敷設 県、経営者を告発へ /滋賀
毎日新聞 2013年09月28日 地方版
高島市の鴨川河川敷に敷設・放置された木材チップから放射性セシウムが検出された問題で、県が東京都の会社経営者を河川法違反(形状変更)容疑で、近く県警に刑事告発する方針を固めたことが県などへの取材で分かった。【田中将隆、加藤明子】
関係者によると、経営者は今年3〜4月ごろ、国有地で県が管理する鴨川左岸の河川敷に幅約3・5メートル、長さ約570メートルに渡って木材チップを敷設し、県に無断で土地の形状を変更した疑いがもたれている。経営者は、東京電力福島第1原発の事故で汚染された木材チップの処分を福島県の製材会社から依頼され、滋賀県内に運び込んだとみられる。
県はこれまで経営者に対し、書面などで原状回復を求める行政指導を3回行ったが、返答はないという。連絡も取れない状態が続いていることから、告発に踏み切ることにした。
現場周辺では、経営者が置いたとみられる木材チップが入った土のう77袋も見つかっており、県は廃棄物処理法違反(不法投棄)容疑での告発も視野に調査を続ける方針。
経営者に、敷設作業を請け負った近江八幡市の建設会社を紹介したという横浜市の男性(69)は「高島市に(経営者の)知人の土地があり、汚染された木材チップを中間処理をして無害にしてから持って行くと聞いていた。だまされた思いだ」と話している。
◇撤去めど立たず 県、国に支援求め
一方、嘉田由紀子知事は27日の県議会で、「原状回復命令が履行されない場合は行政代執行になるが、受け入れる処分場がなく撤去できない」としたうえで、国の支援を求める考えを示した。
県によると、木材チップは放射性セシウムの濃度が高いため、管理型処分場で埋め立てる必要がある。このため県は、東北地方の民間の産廃処理業者に照会したが受け入れを断られたという。現在、環境省と処理方法を協議中だが、撤去のめどは立っていない。
嘉田知事は「やっかいな、持って行き場のない放射性物質が琵琶湖に持ち込まれたのは残念だ」としたうえで、飛散防止などの対策を徹底するとした。