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伊豆大島警戒続く 「避難所眠れない」泥の残る自宅戻る人も

伊豆大島で豪雨の中、傘もささずに避難所から自宅まで歩いてきた柳瀬雅子さん
伊豆大島で豪雨の中、傘もささずに避難所から自宅まで歩いてきた柳瀬雅子さん
Photo By スポニチ

 台風26号による土石流被害の出た伊豆大島(東京都大島町)では20日午前、強い雨が降った。気象庁は大雨警報を発表し、町が19日に出した避難勧告の解除は21日朝になる見通しとなった。安否不明者の捜索もそれまで中断する。二次災害を警戒して避難した住民900人以上は、学校や公民館で不安な一夜を明かした。一方で「避難所では眠れない」と、土砂が流れ込んだ自宅へ戻る人たちがいた。

 大粒の雨が吹きつける午前7時。多くの住民が避難した元町地区は人通りが全くなかった。そんな中、大島町役場前の歩道を1人の女性が歩いていた。頭にタオルを巻き、傘もささず、うつむいていた。

 「避難所にいたんだけど、眠れなかった。家に戻りたくって」。避難所の都立大島高校から約2キロ歩いてきた柳瀬雅子さん(67)は、疲れた様子で話した。

 自宅は多数の犠牲者が出た元町3丁目。台風26号による“山津波”は自宅裏手の数メートルまで迫り、土砂の一部が家の中まで流れ込んでいた。

 「まだ泥があるけど、やっぱり家が一番いい」

 午前9時。雨は横殴りとなり、台風が来たのではないかと思えるほど強烈になった。再び土砂崩れが起きれば、今度は柳瀬さんの家までのみ込まれるかもしれない危険な状態だ。

 「それでも家がいい。ここでなら本望だ」。柳瀬さんは“覚悟”を決めたように強い口調で言うと、家財が散乱し、泥が残る家の中へと入っていった。

 避難所で過ごした住民からは「人が多くて落ち着かない」「眠れなかった」「寒い」などの声が相次いだ。大島高校に避難した原田国男さん(76)は「雨の音があまりにうるさくて山が崩れるのではとハラハラした。眠れないという人が多かった」と話した。

 危険を覚悟で自宅に戻る人もいれば「避難所より車の中の方がいい」と作業を始めた人もいる。元町港の近くで飲食店を経営する吉田まり子さん(59)は、自家用車に荷物を詰め込んでいた。大昇地区にある自宅は無事だが、近所の人から「上の方で水がたまっていて危ない」という話を聞き、避難勧告が出た19日夜は友人宅に宿泊。朝になり、自宅と店から貴重品や生活用品、衣類、毛布などを持ち出した。

 「そんなに切羽詰まった状況ではないと思っていましたが、こんなに雨が降るんじゃねぇ」

 荷物の中には冬用の衣類もたくさん詰め込んだ。「自宅がつぶれたら冬も越せないと思って。友人は、避難所は寒かったと言っていました。いざとなったら車の中で寝ます」と言って、運転席に乗り込んだ。

[ 2013年10月21日 06:00 ]

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