リアルサウンド 10月14日(月)18時41分配信
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NMB48『カモネギックス 通常盤Type-A』(laugh out loud records) |
NMB48の8枚目のシングル『カモネギックス』が、10月1日付けのオリコンウィークリーチャートで1位となり、5thシングル『ヴァージニティ』から4作連続でのオリコンウィークリーチャートを獲得。その人気を明確に裏付ける結果となった。2013年はテレビやラジオでのメディア露出も多い地元大阪を含む関西圏での活躍に留まらず、東京・NHKホールなどの東日本ツアーも成功させ、10月18日のミュージックステーション(テレビ朝日系)への出演も決定。人気・知名度ともに全国区となり、目標としている紅白歌合戦への単独出場も夢物語ではなくなりつつある。
そんなNMBは初ステージから3周年を迎え、10月12日、13日と2日間に渡って、結成当初からの大きな目標だった大阪城ホールでのライブを行った。2日目の最終公演は、NMBのメンバーとNMBのオリジナル楽曲のみのシンプルな構成で、彼女たちの“今”を切り取った内容だったが、ライブの最後には大きなサプライズ発表も行われた。城恵理子の復帰である。
AKB48のコンサートでは、研究生ながら「ロマンスかくれんぼ」をソロで歌い、チームM結成とともに正規メンバーへ昇格するとセンターに抜擢された城恵理子。『真夏のSounds Good!』ではAKBの選抜メンバーになり、NMBのみならず48グループ全体の次世代エースとして期待されていた。
2012年9月に学業専念を理由に卒業した彼女が、NMBに研究生として戻ってきたのだ。大阪城ホールを埋めたファンからは温かく迎えられたものの、彼女がステージ上で語った言葉は、復帰への葛藤を強く感じさせるものであった。一方でそれを見守るメンバー、特に元の同僚であるチームMのメンバーの表情は複雑だった。この日のライブ後に更新されたGoogle+では、チームMのメンバーの多くが複雑な心情を吐露している。奇しくも、この日の昼公演では、チームMとして初の単独ツアーが発表されたばかりのタイミングだった。
城が卒業した後のチームMは、矢倉楓子をセンターに据えながら、木下百花、高野祐衣、島田玲奈といったメンバーが、アイドル的な若さやカワイさだけではなく、トーク力やキャラクターを武器に活躍していた。大阪の街では、演者は“キャラ立ち”していることが求められるため、彼女たちの戦略は効果的だった。関西のメディアでは、山本彩、渡辺美優紀という二枚看板が席を外すことが多くなっていたが、彼女たちがその個性を発揮し、NMBのファン層を拡大していたのだ。
NMB48にはイナタい歌謡曲がよく似合う。「カモネギックス」もEDMが主体となってきたアイドルのダンスミュージックシーンでは、あまりにも“イナタい”楽曲である。二枚看板のソロ曲も山本の「ジャングルジム」はブルース。渡辺の「わるきー」は悪ふざけとも取れるメタアイドル楽曲である。フレッシュさや先鋭性が求められる現在のアイドルシーンとはある意味、逆行しているが、その“イナタさ”は大衆に愛されるための大きな武器にもなっている。そしてそれは、NMBの母体でもある吉本興業が100年の歴史で積み重ねてきたノウハウのひとつでもある。
AKBはアイドルファンに応援されることで成り立っているが、大阪ではもっと広く、大衆に愛されるのが生き残る道である。チームMは生き残るために大衆に愛されるキャラクターを必死で手に入れた。そして、それはNMB全体の方向性をより明確にする結果となった。この1年間でNMB全体の舵が大衆路線に切られた今、帰ってきた城恵理子は新しい城恵理子像を描き、大阪の人々に愛されるようなキャラ立ちをすることができるのか? センターの重圧とは違う、新しい戦いが城には待っている。それでも、復帰する決意をした彼女を温かく見守って行きたい。
エドボル
最終更新:10月14日(月)21時51分
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