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学力調査―公開する責任と覚悟は

全国学力調査の結果について大阪市教委が全国で初めて、校長にホームページなどで公表を義務づけると決めた。委員の話し合いで、「開かれた学校づくりのため公表すべきだ」との意見が大勢を占めたからだ。[記事全文]

中国の人権―運動弾圧は許されない

中国の憲法第35条は、こう規定する。「中華人民共和国の公民は言論、出版、集会、結社、行進、示威の自由を有する」にもかかわらず、ごく穏健な改革を主張する市民運動家が中国で[記事全文]

学力調査―公開する責任と覚悟は

 全国学力調査の結果について大阪市教委が全国で初めて、校長にホームページなどで公表を義務づけると決めた。委員の話し合いで、「開かれた学校づくりのため公表すべきだ」との意見が大勢を占めたからだ。

 改めて、成績公表のリスクと重い責任を考えたい。

 学力調査をめぐっては、公表が過度な競争を招いて不正が横行した苦い歴史があり、文部科学省は教委による学校別の成績公表を禁じている。学校独自の判断による公表は認めているが、大阪市教委は「従わない校長は処分を検討する」としており、事実上の強制だ。

 文科省はルールに反すると改善を求めたが、その文科省もいま、公表解禁を検討中だ。各地の首長や保護者から「税金を使う以上、国民には結果を知る権利がある」などの主張が相次いでいるためだ。なし崩しに学校別の成績公表へ移行する可能性もある。

 学校は、子どもが社会を生き抜く力をつける場所だ。テストの点は教育の成果の一部でしかない。そう頭ではわかっていても、数字を突きつけられると弱いのが人間である。

 学校が序列化される懸念はもちろん、こわいのは、点数に振り回されて教育がゆがんでいくことだ。過去には、公表される平均点を上げようとした先生が、障害をもつ子にテストを受けさせなかった例もあった。様々な境遇や個性の子が尊重しあい成長するという教育の本質が破壊されては、本末転倒だ。

 一方、公表を求める保護者の思いの底には、なにごとも隠しがちで、コミュニケーションが取りにくい学校への不信感がある。公表することで地域に学校の課題が伝わり、保護者の信頼と協力が得られやすくなるかもしれない。先生たちに、よい意味での緊張感も生まれよう。

 だが、公表が教育のゴールではありえない。公表するにしても、学校序列化で終わるのでなく、結果が思わしくない場合には原因と課題をさぐる工夫を重ねなければならない。成績がふるわなかった生徒への取り組みと成果などを継続的に地域に発信する努力も欠かせない。学校をよくするための地域との対話の出発点でなければならない。

 学校や先生をさらしものにするパフォーマンスに終わるなら、子どもや先生を傷つけるだけだ。学力には、貧困や地域の教育力など複雑な要素がからむ。安易な公表は現場を荒廃させ、問題解決を遅らせる。その重い自覚がなければ、公表する資格はない。

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中国の人権―運動弾圧は許されない

 中国の憲法第35条は、こう規定する。「中華人民共和国の公民は言論、出版、集会、結社、行進、示威の自由を有する」

 にもかかわらず、ごく穏健な改革を主張する市民運動家が中国で相次いで身柄を拘束されている。当局の振る舞いは明らかに人権を無視した弾圧であり、許されるものではない。

 いま、中国では「新公民運動」と呼ぶ動きが各地で起きている。真正面から民主化を求める従来の運動とは異なる。ラジカルな体制批判を控えながら、「公務員の資産公開」「出稼ぎ農民の子らへの教育機会の平等」といった具体的な主張を掲げ、支持を広げている。

 今年7月に拘束されたのは、その運動の担い手の一人だった法学者・許志永氏。そして、許氏の釈放を求めて署名運動をネットで展開した企業家の王功権氏が9月13日に拘束された。いずれも「公共の秩序を乱した罪」の容疑というが、首をかしげざるを得ない。

 ほかにも拘束されたままの関係者がいる。こうした運動は、教育水準の向上、情報を伝えるパソコンや携帯電話の普及とともに起きた必然的なうねりといえる。自らの頭で考え、行動する市民が厚みを増している。

 東アジアでは1980年代後半以降、経済発展とともに民主化が進んだ先例がある。韓国と台湾だ。

 しかし中国は、経済発展しても抑圧の手を緩めない統治スタイルに固執している。憲法に基づき、当たり前の権利を求める市民に対し、習近平(シーチンピン)政権は、その声に耳を傾けるどころか、取り締まり強化で応じている。あまりに硬直的な対応である。市民の権利意識という内圧の高まりに、いつまでも耐えられるというのだろうか。

 そればかりか、憲政(憲法に基づく政治)自体を否定する論調が主要メディアで流されている。その中のある記事は、憲政を「社会主義体制を崩壊させる米情報機関の武器」と言い放っている。異様というほかない。

 習政権に対しては発足当初、改革志向への期待が知識人層にあったものの、今や失望のほうが大きい。

 中国政府が最近、国連の人権理事会に提出した「国家人権報告」は「市民一人ひとりが、より尊厳があり、自由で幸福になるよう努める」と明記している。

 その目標こそ、周囲から尊敬される大国になるために目指すべき方向ではないか。まずは第一歩として、許氏、王氏らを直ちに釈放するべきである。

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