【ニューヨーク=春日芳晃】潜伏するイスラム過激派を殺害するとの名目で米英軍などが実施した無人飛行機による攻撃で、パキスタンなど3カ国で少なくとも2004年以降、民間人479人が犠牲になっていることが、国連人権理事会が依頼した専門家チームの調査でわかった。朝日新聞が入手した調査報告は米国を名指しし、作戦や民間人犠牲者のデータを最大限公開し、説明責任を果たすよう求めている。
軍事費削減で多用マララさんも批判「テロあおる」非戦闘地域での無人機攻撃を巡っては、他国の主権を侵害し、多くの民間人を巻き添えにしているという国際社会の批判がある。こうした批判を受け、国連人権理事会は1月、英国の弁護士で国際人道法の専門家のベン・エマーソン氏に調査を依頼。民間人の殺害は国際法上、戦争犯罪にあたることから、同氏は専門家チームとこれまでの攻撃例を調査した。無人機攻撃について国連が依頼した調査は初めて。
パキスタンではエマーソン氏が3月に政府関係者に直接確認。全体の死者が2200人に上り、うち民間人が少なくとも400人と判明した。さらに200人が非戦闘員の可能性がある。国連の現地組織などの集計ではアフガニスタンの死者は58人。イエメンでは現地メディアの調査によると、少なくとも21人が殺害されていた。報告書は武装勢力と民間人を区別した基準を示していない。リビア、イラク、ソマリア、パレスチナ自治区ガザでも調査を進めている。
作戦を実行しているとされる米英は情報の一部を開示したが、イスラエルは協力を拒んでいるという。民間の犠牲はもっと多いとの指摘もあり、調査が全容を反映しているかは不明だ。
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朝日新聞国際報道部