徳洲会:徳田虎雄理事長が退任表明 公選法違反事件受け
毎日新聞 2013年10月08日 10時53分(最終更新 10月08日 12時49分)
医療法人「徳洲会」グループの公職選挙法違反容疑事件を巡り、同会は8日、徳田虎雄理事長(75)が同会の理事長職を含むグループ6法人・組合すべての代表を退任することを明らかにした。近く理事会を開き、正式決定する。徳田氏は声明文で「理事長としての責任を回避するつもりはない。一日も早い徳洲会グループの信頼回復を願う」と退任理由を明らかにした。
東京都千代田区にある同会の東京本部で、グループを統括する一般社団法人「徳洲会」の鈴木隆夫理事長らが記者会見し、声明文を代読した。徳田氏は全身の運動神経が衰える筋萎縮性側索硬化症(ALS)で神奈川県内の病院に入院しており、姿を見せなかった。
声明文で徳田氏は「捜査を真摯(しんし)に受け止め、全面的に協力するつもりです」と表明。その上で「今回の事態に至った責任の所在については、基本的には理事長である徳田虎雄の責任であることは間違いない。新しい執行部のもとで、徳洲会の『生命だけは平等だ』の理念と組織の発展が私の心からの願いです」と述べた。
ただ、関係者によると、9月21日のグループ幹部らによる会議で、徳田氏は「選挙違反に当たらない」との考えを示したといい、会見で鈴木氏も「患者、職員に大きな不安や心配をかけたことに関する理事長の責任の取り方」と説明し、容疑を認めた上での引責ではないとの見解を示した。
徳洲会グループは、66の病院を含む280以上の医療施設を展開する国内最大級の医療グループ。医療法人としては徳洲会を含む13法人のほか、税制上の優遇措置を受ける特定医療法人と社会医療法人が計3法人あり、徳田氏の家族も役員に就いている。昨年12月の衆院選で自民党から立候補した徳田氏の次男毅(たけし)衆院議員(42)の選挙区(鹿児島2区)に系列病院の職員200人以上を派遣し報酬を支払ったとして、東京地検特捜部が9月17日に東京本部などを公選法違反(運動員買収)容疑で家宅捜索。その後も系列病院が次々と捜索を受け、関西の院長らが徳田氏の退任を要求する決議をしていた。【吉住遊、山下俊輔】