国際会議で隣り合って座る朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と安倍晋三首相の、冷たい表情と気まずい顔合わせの様子を撮った写真がニュースで報じられた。先週インドネシアのバリ島で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と、ブルネイで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の席で、各国首脳は、感情をむき出しにはしないもののよそよそしい2人の態度を目にして、韓日間のおかしなムードに気付いたことだろう。そして、心の中で笑っていることだろう。外交とは、心の中にあいくちを忍ばせていても、表面上は何事もないかのように振る舞うのが普通だからだ。
この約30年、韓日関係が今ほど疎遠になったことはない。互いの国民感情がどれほど険悪でも、指導者はもっと冷徹で、物事の分別があるべきなのに、今は両国の指導者が互いに知らん顔をしている。一国の指導者たる者、時には国民感情を乗り越えて未来を見なければならない。両国関係を、今のような状態のままいつまで放置しておくのか。
時期的に、現在韓国は国際的地位の向上で大いに高揚しており、日本は保守政権の発足を契機として、これまでの低迷から抜け出して「復活」を試みようとしている。必然的に、両者はどこかで交差する。それを別の角度から見ると、いまだに過去の過ちを認めない日本の高慢な歴史認識と、もはやそれに耐えられず乗り越えることもできない韓国の忍耐の限界が衝突するということでもある。
現在の安倍政権の順風満帆な状況から見るに、日本が今になって植民地時代の誤りを認め、周辺国との関係をその基盤の上で新しく構築すると期待するのは「木に縁(よ)りて魚を求む(不可能な望みを持つという意味)」ようなものだ。今の日本経済は勢いを保ったまま、韓国はじめ周辺国を圧迫している。そして中国の軍事力増強とG2(主要2カ国)に浮上したという勢いに対抗し、日本を防波堤にしようとする米国の対中戦略が、日本にとって追い風になっている。何よりも日本は、第2次大戦から60年以上もの間、自分たちにはめられたと信じている「足かせ」から、抜け出す時が来たと信じている。現在の自分たちの経済力と立場にふさわしい「自負」を取り戻そうという中興論で沸き立っているのだ。集団的自衛権や、神社に参拝する指導者層の妄言などに象徴される右傾化が、まさにその手段というわけだ。
こんな日本を制御する道は、今や存在しないように見える。米国が日本の手を取り、中国が一歩下がっている上、日本経済に影響を受ける世界各国が沈黙している状況では、なおのことそうだ。韓国が日本の集団的自衛権に警告を発したとしても、国民の6割が支持している安倍政権が後ずさりするようなことはないわけだ。