治安維持法、運用面での問題点
秘密保護法が成立するかもしれない昨今ですが、この法律に対する危機感については、既に多くの方が述べられていますのでそちらに譲ることにしまして、私からは、秘密保護法がよく治安維持法と対比されることに関し、実際に制定された治安維持法にはどのような問題点が発生したのかを運用面から二つ述べてみたい。
第一は、自己拡張である。
治安維持法をはじめとする治安立法は、その対象・違反者を求めて拡張していくことがある。当初は共産主義者に限定されていた治安維持法も、満州事変を過ぎた頃から共産主義者以外にも適用されていく。自由主義、宗教関係にも適用の範囲を広げていく(もっとも、治安維持法については、最初の適用例が「京都学連事件」であり、ここから既に当初の目的から外れている)。治安立法は、その違反者を見つけなければ意味はない。そのために、共産主義者がいなければそれに付随する者たちへと適用を拡張していく。更にそれに付随する者たちへと拡張していく。治安立法というものは、その存在を主張するために自己拡張していくものであることを私たちは知らなければならない。
第二は、関係ない法律の治安立法化である。
治安維持法をはじめとする治安立法は、治安立法でない法律を巻き込んでいく。例えば、立ち小便は軽犯罪法違反であるが、立ち小便をした者を軽犯罪法違反で検挙し、その後の取り調べの過程で治安維持法違反へとシフトしていくことができるのである。つまり、どのような法律違反で検挙されても、警察の取り調べのやり方によっては「立ち小便」という当初の目的だけでなく、その人物の活動や思想信条から治安維持法違反へとシフトすることが可能なのである。そのような意味において、あらゆる法律が、治安維持法を軸として治安立法化していったのが戦前であった。
もし、秘密保護法が戦前の治安維持法と同じようなものであるならば、上記二点のような危険性をはらんでいることを私たちは肝に銘じておかなければならない。
そのような意味においても、秘密保護法の制定は絶対に阻止しなければならない。
「酒の席で話して逮捕? 秘密保護法案、市民への影響は」
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