福島第1原発:都路の避難指示解除先延ばしへ、福島・田村
毎日新聞 2013年10月15日 11時02分
東京電力福島第1原発事故で福島県田村市都路(みやこじ)地区東部に指定された避難指示解除準備区域について、政府は14日、住民との意見交換会で避難指示解除は来春以降に先延ばしにする意向を明らかにした。政府が検討していた「11月1日」の解除案は、放射線量の不安などから住民が強く反発し、撤回に追い込まれた。
避難指示が出されているのは119世帯。今年6月に除染が終わり、8〜10月は帰還に向けた長期の「特例宿泊」が認められている。意見交換会で冨塚宥暻(ゆうけい)市長は「解除せずに(長期)宿泊が終わり、後戻りがあってはならない」と述べ、11月1日の解除案に理解を求めた。
しかし、住民からは「除染しても(年間被ばく線量が一般人に許容される)1ミリシーベルトを下回らない」「再除染や森林除染の方針が示されていない」などの声が相次いだ。解除時期が決まれば避難区域に指定された県内11市町村で初めてのケースだったが、政府は提案を撤回し、特例宿泊期間の延長と来春以降の解除を検討する方針を示した。
意見交換会には政府の原子力災害現地対策本部長の赤羽一嘉・副経済産業相らが出席。国が示している解除要件は▽年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下▽電気、水道などのインフラがおおむね復旧▽地元住民との協議−−だが、数日間の短期を含めた自宅宿泊は38世帯(9月末)にとどまる。【藤原章生、深津誠】