法政大学経営大学院「マーケティング特殊研究：ブランド論」で登壇した3人の経営者の講義録。青山フラワーマーケット（井上英明）、着物のやまと「なでしこ」（矢嶋孝敏）、上海錦江麒麟（小林厚）。いずれにブランドを立ち上げた創業経営者である。なお、中小企業のブランディング・ケースとして、「藤栄」（台東区：スポート用品卸）を取り上げてある。大学院生たちのグループ討議の報告書が、事例分析として紹介されている。

衣料品分野で作られた「製造小売業態」（ＳＰＡ）の概念を、食の分野に応用した新しい概念（ＳＰＦ）の提唱した論文・事例報告書。ＳＰＦ（Specialty Store Retailer of Private Label Food）の実像を、先進的な事例でまとめた報告書でもある。惣菜小売業のロック・フィールドやオリジン東秀、食品加工メーカーのカゴメ、自然食品小売業のＥｆなどが取り上げられている。

米国の加工食品メーカーが、有機農産物のプレミアム・ブランドを買収している時代背景を分析した論文。小売業でも、最大手のディスカウンターであるウォルマートが、有機野菜や自然食品を取り扱いだしていることが紹介されている。

ブランド戦略は、大手メーカーやサービス／小売業だけでなく、中小企業にとっても成長のための必須考慮事項であることを説いた論考。とりわけ、経営者自身のブランディング、投入商品の逐次・早期改良を提案している。

中小企業や農産品（地域）のブランド化の大切さを訴えた論文。事例として、花店の青山フラワーマーケットや地方優良企業の事例が取り上げられている。

農水省の受託研究調査「中国・台湾に向けた日本の農林水産物の輸出とブランド保護」（2006年）の詳細版。取り上げられているトピックスは、花卉類（切花と鉢物）の輸出事情、一般農産品（米、りんご、なし等）の輸出実態、国別の状況（中国、台湾、タイ、韓国など）、種苗法・育種権保護（農産品の知的所有権）の問題点。本論文のエッセンスは、『日本農業新聞』（2006年3月13日号）に「転換期を迎えた農産物輸出立国時代」として掲載された。

アイデアや人物と同様に、場所（地域）も、マーケティング可能な対象になる。場所のイメージがマーケティング対象になった例として、地名に特産品をプラスした「産地ブランド」が挙げられる。事業成功の事例は、夕張メロン、関サバ、神戸牛などで、地域活性化の努力が以前にも増して重要。地方自治体が真剣に取り組むべき課題として「地域をブランド化する」という活動が大切であることが述べられている。

テキストマイニング手法が技術的に利用可能になって以降、豊田（裕貴）・小川が開発した自由連想データの分析手法「PINS測定法」に関する論文。PINS測定法の意義、連想データの収集手続きを簡単に紹介している。シンポジウムの講演録を論文にしたもの。

平成13年に出版されたブラットバーグ教授（米国ケロッグスクール教授）の書籍‘Customer Equity’の日本語翻訳版。ブランドを無形資産としてとらえる立場を離れて、顧客を企業にとっての最大の資産としてとらえる新しいパラダイムが提案されている。 共著者：小野譲司、小川孔輔 全255頁

神戸コロッケ、Ｒ／Ｆ１、サラダバックなどで有名な（株）ロック・フィールド（本社：神戸、岩田弘三社長）の30年にわたる成長の軌跡を記録したミニ社史。建築家安藤忠男氏との個人的な交流、欧州でのデリカテッセンの発見、神戸コロッケの発売、静岡工場の建設（健康と安全の概念を取り込む）、最近のサラダバックでの路面店展開などを記述している。 全115頁

スコット・ベドバリーの著書『A New Brand World』（2002年）（ブランドの新世界より）の紹介書評。著者が、現代米国を代表する2つのブランド、ナイキとスターバックスを成功に導いた要因を個人的なキャリアとブランド構築の手法に求めていることを指摘している。2002年秋、同書は邦訳が発売されている。 全7頁、61～67頁

大企業と同様に、中小企業にとってもブランド構築は大切である。知名度が低く資源が少ない中小企業は、2つの段階を経て、大きなブランドになる。第一段階とは、知名度を高めること（ソフト技術、視覚効果、メディアとの親密度）、第2段階とは、経営者自身を売り込むことである。 全11頁、90～100頁

ブランド構築におけるインターナル・マーケティングの重要性を説いた論文。企業が広告をするのは、直接的に知名度を高めたり、商品イメージをよくするためだけではなく、企業内部で働く従業員に対して内向きにブランド（の振る舞い）を説明するためでもあることを指摘している。 全6頁、14～19頁

若手研究者3名と編者（小川）によるブランド関連の調査報告。最新の研究成果をまとめたもの。（2）は「調査報告書」で、3つの調査結果を収録。「オーガニックスーパーのブランド展開」、「パッケージング」、「SP増量キャンペーンの実験結果」を報告書のかたちで紹介している。 編集：研究会主査 全127頁

法政大学大学院博士課程在籍者を中心とした若手研究者によるブランド関連の論文集。2000年以来の研究成果をまとめたもの。（1）は「理論編」で、13編の論文を収録。「技術のブランディング」、「バイヤーのブランド採用モデル」、「環境のブランド価値」など、従来のブランド論では、未開拓な分野についての研究論文を多数取り上げている。 編集：研究会主査 全285頁

ブランド構築における広告コミュニケーションの役割を述べたもの。日経広告研究所での平成13年の講演録。ネット時代のコミュニケーション戦略に言及しており、ブランド連想を通して形成されるブランドイメージが企業（ブランド）にとって重要であることが強調されている。

2001年に日本フローラルマーケティング協会が主体となって実施した「切り花の鮮度保証販売」の報告書。生産者から出荷された切り花を、流通段階だけでなく、実験店舗(3店舗)で購入してくれた消費者の家庭での花持ちをチェック。温度センサーを用いて、輸送中の温度、品種・品目の違いを要因分析している。

イギリスのSMトップ企業、テスコでのオーガニック食品販売の実態調査を受けて、日本での将来的展開を予想。日本では、2000年秋に有機食品スーパー「マザーズ藤が丘」で店頭調査を実施。消費者調査（モールインターセプト法）と動線調査（観察法）によって、価格が高くともオーガニック食品を受容する一定の消費者層が存在することが示された。 全8頁、41～48頁

1970年に創業した日本マクドナルドの成長限界を、5つの要因によって説明した批判的論文。成長を制約する基本要因としては、（1）為替レートの反転（円安傾向）、（2）高齢化社会の到来、（3）食文化の和風回帰、（4）後継者の不在と労働力の確保、（5）スローフード運動と食の安全性である。

マーケティングの現代を代表する3つのブランド関連書の同時書評。Ｄ・アーカー著『ブランドエクイティ戦略』、Ｐ・アンダーヒル『なぜこの店で買ってしまうのか』、Ｄ・テドロー『マス・マーケティング史』の3冊を、マーケティングの発展段階に沿って説明し解剖した労作と位置づけている。 全17頁、123～139頁

1999年以来、3年間にわたって実施された日経広告研究所・ブランド連想研究会の「ブランド連想調査」の最終報告書。5カテゴリー（各2ブランド）について、大規模CMキャンペーンの前後で、ブランドイメージがどのように変化するのかを連想調査によって分析したもの。 座長：小川孔輔 共著者：横山詔一、栗原信征、川野純一 全16頁（上：8～14頁、下：27～35頁） （（上）6・7月、（下）8・9月）

企業経営におけるブランド戦略と広報の役割について述べている。経済広報センター主催の講演会の講演録に加筆訂正した論文。企業にとってのブランドの役割を論理的に説明している。(上)では、ブランド概念がなぜいま重視されているのかについての理由、(中)では、サービスブランド論を、(下)では、ブランドの編成原理を構造的に説明している。 全7頁（上：16～17頁、中：18～19頁、下：18～20頁） （平成13年4～7月）

欧米に調査取材した5回連載の報告書（新聞にコラムで掲載）。特に、オランダで普及した切り花輸送用のリサイクルバケット（切り花バケットコンテナ）が、どのような形で欧州、特にオランダ国内に普及していったのかを、データを用いて検証している。日本へのデポジット方式のリサイクルバケット流通の提案、すでに普及している日本国内でのバケット環流方式について、コスト・メリットの比較が述べられている。

劇場化する社会背景の中で、消費者にとってブランドが生活の中でどのような意味づけを持つように変わっていっているのかを、3つのブランドを取り上げてエッセイ風に展開した論文。ナイキ、ユニクロ、マツモトキヨシが、ブランドを使用することで自己を主張する役割を演じていることを述べている。 全11頁、131～141頁

情報技術を用いると、人と人とのコミュニケーションが簡略化され、ハードな取引情報のやりとりだけで取引が効率的になるがごとく主張されている。本論文では、そうではなくて、とくに消費者を相手にした商取引（C2C場面）において、商品を購入したり、サービスを受けるときには、リアル、ヴァーチャルを問わず、現場での感動が大切であることが説かれている。 全2頁、5～6頁

ハイテク企業ベンチャーには大きな市場があると言われているが、実際的に時代が求めているのは、ローテクベンチャー企業の生産性を高めることである。低い生産性にあえいでいる3Ｆ産業（衣：Fashion, 食：Food, 住：Floral）にこそ、市場開拓とサービス・マーケティング革新の可能性があることを論理的に説明している。 全5頁、2～6頁

1993年に切り花の鮮度保証販売を始めた、英国のスーパーマーケットにおける切り花の実態を6回にわたって紹介した報告書。7年間で市場規模が倍増した社会経済的な背景、英国のSMが採用した販売方法、およびサプライチェーンの変革を報告している。 全6頁

『日経広告研究所報』に掲載した論文（1999年）に、新聞広告SPに関する事例を加えてリライトした論文。論理的な骨子は、1999年の論文そのままであるが、新聞販売のSPについて、SPの広告実態を踏まえて言及している。 全12頁、21～32頁

米国の消費者行動研究者、バーバラ・カーンとレイ・マッカリスターの共著‘Grocery Revolution’の邦訳。20世紀最後の10年間、米国の包装消費財産業で起こった価格革命と流通変革（メーカーと流通業者の対抗）の動きを理論的に実証した労作。ウォルマートの台頭、高品質PB商品の登場が理論的に説明されている。 全198頁

スポーツビジネスにおけるマーケティング戦略の展開を、サービスマネジメントの基本枠組みで解説したもの（第6章）。また、第8章では、スポーツの特性（観客とサービス提供者の同時性）を述べるなかで、マーケティング戦略の作り方を説明している。 全368頁中、「第6章サービス業としてのスポーツ施設」（126～134頁）、「第8章スポーツマーケティング戦略」（189～192頁）を担当 共著者：山下秋二、畑攻、冨田幸博、小川孔輔

ブランド管理における広告の役割を記述したもの。内容は、日経広告研究所での平成12年の講演録。ブランド戦略を構築する上で、コミュニケーション手段としてブランド要素（商標、ロゴマーク、色彩、音など）が重要であることが強調されている。論文中では、いくつかの事例が記述されている。

マーケティング論の通説によると、一般的に値引きなどのSP（販売促進活動）は、長期的にはブランド価値を下げると言われている。本論文では、SP手段のひとつである景品（おまけ＝プレミアムプロモーション）は、逆にブランド価値を高めることがあるという仮説を立て、その事実を調査によって実証している。 共著者：前野和子、野沢誠治、小川孔輔 全7頁、7～13頁 （平成11年4～5月）

未来の商品開発にとって重要な要因は、「場」の創出である。情報をどのように開発の場に取り込むかの仕掛けが大切である。具体的な事例を示しながら、場を設定するときのポイントを解説している。 全4頁、4～7頁

『マーケティング情報革命』（有斐閣）で展開されたマーケティング革命の変化枠組みを簡易に要約した論文。ネット世界が出現するまでのマーケティング情報システムの進化プロセスを、日本と米国の企業事例を用いて説明している。 全31頁、139～169頁

『季刊 マーケティング・ジャーナル』に発表したマーケティング技術の移転モデルの英語版。マーケティング技術が移転するための基礎条件（インフラの4層）、移転モード（SAL移転、AI移転）、移転する要素（4P：Product, Process, Program, People）を提案。実際の事例分析で確認すべき移転仮説をいくつか提案している（ブランド移転の文化借用仮説）。 共著者：Professor Ogawa Kosuke, Professor Hayashi Hiroshige

セブンイレブン・ジャパンの情報化を歴史的に分析したもの。1980年代におけるPOSシステムの導入から、サービス化が進展した現在（1998年頃）までの店頭起点の情報物流システムの発展過程を整理している。 全449頁中、「第3部 情報化時代のマーケティング･システム 第8章（218～243頁）」を担当 共著者：並木雄二、小川孔輔

テキストマイニングの手法が登場する前段階で、「ブランドについての自由回答（質問紙調査）」をベースに、ブランド連想の強さと広がりを測定化する手法を提案している。提案された調査手法を利用することで、刺激語として企業ブランドや個別ブランドが想定されている。当該ブランドの特徴と同一カテゴリー内での他ブランドとの比較ができる。 全14頁、36～43頁 （平成10年7～8月）

テキストマイニングの手法が登場する前段階で、「ブランドについての自由回答（質問紙調査）」をベースに、ブランド連想の強さと広がりを測定化する手法を提案している。提案された調査手法を利用することで、刺激語として企業ブランドや個別ブランドが想定されている。当該ブランドの特徴と同一カテゴリー内での他ブランドとの比較ができる。 全14頁、30～35頁 （平成10年6～7号）

第2次世界大戦後、米国トイレタリー業界の雄、Ｐ＆Ｇから花王がマーケティング技術を投入した経緯を、林・小川の「マーケティング移転モデル」(『季刊マーケティング・ジャーナル』)（1998）を基本枠組みとして説明した論文。 共著者：陸正、小川孔輔 全24頁、3～26頁

テレビ広告が商品売上に短期的に効果をもつ場合が、どのような条件の時であるかを実証した研究。シングルソースのデータで、消費者包装財で25％のケースについて、TV広告が有効であることが発見できた。 (木戸茂、八木滋氏との共同発表)

共著者：S.Kido, S.Yagi

共著者：木戸茂､八木滋

共著者：金澤良昭、田中洋

消費者パネルデータから、購買が一定に期間をおいて発生するときの場合で、中期的な売上高の将来トレンドを予測するためのモデル。連続ドラマの視聴率データにモデルを当てはめた。 (木戸茂氏との共同発表)

異なる複数ブランドが選択される場合のブランド選択状況を説明すためのモデルを提案。実証データとしては、ビールの消費者パネルを用いて、多様性追求型の消費者行動を説明している。 (河端浩之、守口剛、内田学氏との共同発表)

共著者：河端他

一部分担執筆

共著者：浅野有

共著者：守口･川端･内田

共著者：守口･川端･内田

共著者：上野靖弘他

共著者：服部正太､福島常浩

共著者：新宅純二郎