宮城県知事選(27日投開票)で、河北新報社は12〜14日の3日間、電話による世論調査を実施し、本社取材網の分析を加えて情勢を探った。無所属現職で3選を目指す村井嘉浩氏(53)が大きくリードし、圧勝する勢いを見せている。無所属新人の弁護士佐藤正明氏(65)=共産推薦=は伸び悩んでいる。調査時点で投票する候補を決めていないのは2割。関心を示したのは8割弱で、前回知事選(2009年)の調査を下回った。
村井氏は支援を受ける自民、公明両党支持層の9割超を固めた。応援するみんなの党、日本維新の会支持層でもそれぞれ9割、7割に浸透する。
自主投票の民主、社民両党支持層にも8割以上の支持がある。佐藤氏を推薦する共産党支持層の4割強にも食い込む。無党派層は7割を引き付け、支持の広がりが分厚い。
各年代に満遍なく浸透。職業別では管理職、農林漁業などの支持が強い。地域別では特に県北部、仙台市の中心部や南西部で強さを見せる。
佐藤氏は福祉重視の姿勢を掲げ、村井県政を批判する。支援を受ける共産党支持層への浸透は4割強にとどまる。生活の党支持層の3割弱を取り込むが、他党支持層に広がりが見られない。
各年代で村井氏に引き離されている。職業別では学生に1割強の支持があるが、ほかは伸びがない。地域別も各地で苦戦している。
調査時点で「大いに関心がある」「ある程度関心がある」と回答したのは計76.1%。前回09年の同時期調査を6.3ポイント下回った。投票率(前回46.57%)の動向も焦点となる。
◎女川再稼働、反対6割
河北新報社は宮城県知事選の世論調査で、東日本大震災で停止した東北電力女川原子力発電所(女川町、石巻市)の再稼働への賛否を尋ねた。「どちらかといえば反対」「反対」を合わせた反対派が60.4%に上り、「賛成」「どちらかといえば賛成」の賛成派36.1%を大きく上回った。
賛否の割合はグラフの通り。10.9%が「賛成」、25.2%が「どちらかといえば賛成」と答えた。「どちらかといえば反対」は29.7%、「反対」は30.7%だった。
男女別では、男性の53.4%が反対と回答したのに対し、女性の反対は66.9%に達した。男性の賛成は45.0%、女性の賛成は27.9%だった。
年代別では、20代の49.0%が賛成と回答。反対の49.2%とほぼ拮抗(きっこう)した。最も賛否に差があったのは40代で、賛成が26.9%に対し、反対は71.6%に達した。
職業別では、商工自営業、事務・技術職などで40%前後が賛成と回答したのに対し、農林漁業の賛成は25.8%、専業主婦の賛成は26.5%にとどまった。
原発の立地自治体とそれ以外の地域で賛否に差があるかどうかも分析した。女川町・石巻市では39.9%が賛成、58.8%が反対と回答。それ以外の地域は35.7%が賛成、60.7%が反対で、賛成と回答する割合は立地自治体の方がやや高かった。
女川原発は震災で全3基が停止し、一部設備が損壊した。東北電は女川原発の再稼働時期について「2016年度以降」との見通しを示している。今年5月に敷地内の防潮堤かさ上げに着工するなど、再稼働に向けた安全対策工事を進めている。
<調査の方法>宮城県内の有権者を対象に12〜14日、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。実際に有権者がいる世帯にかかったのは1440件で、うち1015人から回答を得た。