OPCW:シリア化学兵器廃棄に向け、反体制派とも接触
毎日新聞 2013年10月19日 08時00分(最終更新 10月19日 08時25分)
【ブリュッセル斎藤義彦】ノーベル平和賞受賞が決まった化学兵器禁止機関(OPCW、本部オランダ・ハーグ)の事務方トップで授賞式に出席するアーメト・ウズンジュ事務局長が毎日新聞と単独会見し、シリアでの化学兵器廃棄に向けて国連とともに実施している査察について反体制派とも接触しながら進めていることを明らかにした。そのうえで、廃棄は反体制派を含めて「全ての勢力の利益になる」と強調し、部分停戦による「査察への協力」を呼びかけた。
事務局長は、シリアで活動する国連とOPCWの合同査察チームが「1日当たり3カ所の査察を行う」との計画を明らかにし、約20ある化学兵器関連施設の査察を「来週末(26日)までに終了できる」との見通しを示した。OPCWの決定機関・執行理事会が決議し、国連安保理が認めた終了期限は27日で、前倒しで順守する。同じ決議で定められた来年半ばまでの全化学兵器の廃棄は、査察官の安全が確保されればと前置きし、「非常に厳しいが、任務を終了できると信じる」と述べた。
事務局長は、政府軍と反体制派の衝突で査察ルートを支配する勢力が日々変わり、査察チームが「当日になって日程を変えざるを得ないこともある」と治安の厳しさを指摘。国連の担当者が査察先で武力衝突がないことを確認、反体制派とも接触し部分的な停戦を実現している実情も明かし、「廃棄はシリアの全勢力と国際社会の利益だ」として「安全な環境で専門家が査察できるようにしてほしい」と部分停戦を促した。
化学兵器廃棄プロセスが始まっても内戦が続いていることに関しては「深い失望」を表明。ただ、化学兵器問題が「停滞していた国連安保理や国際社会をまとめ、政治解決に道を開いた」と総括した。一方で、和平の行方については「国際社会次第だ」とした。
シリアが14日に化学兵器禁止条約に加入、未加入・未批准が6カ国になったが「6カ国もすぐに条約に参加する。化学兵器なき世界が近づいた」と話した。