【佐藤達弥】安倍内閣が来週にも閣議決定し、今国会での成立を目指す特定秘密保護法案。機密を漏らした公務員の罰則強化や「知る権利」「取材の自由」の確保が焦点となっているが、その影響は市民生活にも及ぶ可能性がある。どんな事態が起こりえるのか二つのケースを想定し、大阪弁護士会で法案について議論している畠田健治弁護士とともに問題点を考える。
【特集】秘密保護法案とは■ケース1 友人と居酒屋で…秘密話して逮捕
大阪府東大阪市の町工場の専務Aさん(50)は、大学時代の友人と久しぶりに居酒屋で飲んでいた。互いの仕事の話題になり、友人がAさんに尋ねた。
「確か、お前の所は特殊素材作ってるんやな」
「原発に使う世界最高強度の素材やねん」
「それって、どうやって作る?」
友人が働くのは全く違う業界。Aさんは素材の情報が原発テロ防止に関わる特定秘密だと社長から聞いていたが、こんな専門的な話を友人が誰かに言うことはないと思い、製法の一端を話した。ところが――。
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朝日新聞官邸クラブ