故障明けの玉田とダニルソンの起用を示唆したグランパスのストイコビッチ監督=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで(木村尚公撮影)
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名古屋グランパスのドラガン・ストイコビッチ監督(48)が18日、自らが育て上げたベテラン主力陣と心中する覚悟をあらためて示した。仙台戦(19日・ユアスタ)で故障明けのFW玉田、MFダニルソンの強行起用を示唆し、若手を代役に立てる可能性を否定した。退任まで残り6戦。2010年優勝メンバーで強いグランパスを復活させ、有終の美を飾る。
ストイコビッチ監督が語気を強めた。仙台戦で腰痛の玉田、右足痛のダニルソンの起用法について報道陣から問われると、即座に言い切った。
「玉田が戻ってくれば使う。ダニルソンが戻ってくれば使う。ベストメンバーで臨むのみだ」
本来、ピクシーは故障明けの選手起用には慎重だ。「100%でなければ使わない」とベンチに置くことも多いが、今回は迷いを捨てた。数日前に全体練習に復帰したばかりの2人の先発起用を示唆した。
逆に10月の国際大会で結果を残した若手はベンチ外。東アジア大会で3位に入ったU−20代表のMF田鍋とDF佐藤、U−19アジア選手権予選を突破したU−18代表のMF望月とDFニッキ。伸び盛りの4人の抜てきは見送られたもようだ。
指揮官は「みなさんは天皇杯の結果をご存じでしょう。最後まで冗談のようなサッカーを続けるのなら、(代役に)若手を使ってもいいのかもしれない」と語った。
自虐気味に振り返ったのは珍しく若手をテストし敗れた天皇杯初戦の長野パルセイロ戦(9月8日)。ピクシーは「プレーに値する選手なら使う。試合を試験の場にすることはない」と断じる。良くも悪くも優勝メンバーに固執してきた起用法に最後までブレはない。
「私が日本を離れる前に、勝ってほしいんだ」とピクシーは笑った。玉田、ダニルソンに楢崎、小川、ケネディ…。自らと一時代を築いた選手とグランパスを立て直し、日本をたつ心積もりだ。 (木村尚公)
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