通訳の戸田氏（右）のメモを丸めて捨て、困らせるトム・ハンクス

　俳優のトム・ハンクス（５７）が１８日、都内で映画「キャプテン・フィリップス」（１１月２９日公開）の来日記者会見を行った。

　作品は２００９年にソマリア沖で起きた支援物資運搬船乗っ取り人質事件を描く。トムは「何度も来日しているが、また私のママ（通訳の戸田奈津子氏＝７７）と楽しい仕事ができる」と得意のジョークで切り出すと、前夜に東京国際映画祭で安倍晋三首相（５９）と対面したことについて「私が彼に投票できるかは別にして、楽しい夜だった」と振り返った。

　トムは実際にコンテナ船に乗り込み、仕事の細かい部分まで体験しながら、役作りの参考にしたという。「この映画に出てくるやせたソマリア人の海賊は、マンガのように分かりやすい悪役ではない。腐敗した政府のせいで貧しく、絶望的になっている。罪は罪として追及の手を緩めてはいけないが、そういう複雑な背景をお客さんに理解してもらい、世の中の不公平さを伝えることに意義がある」と訴える。

　早くもアカデミー賞の有力候補との声が上がるなか、トムは「オスカーはワールドカップとパンケーキの合わさったようなもの。楽しいパーティーで、招かれたら楽しもうと思っている。ただで何かがもらえるうれしさがある」と、これまたジョークで笑わせた。