先日、某マスコミからインタビューを受けた。参院選の総括、敗因、今後の政治活動などの話が中心であったが、最後には野党再編の話となった。私は率直に言って、今、慌てて野党再編などすべきではないと考えている。
確かにマスコミ報道では、民主党の一部と維新の会やみんなの党との野党再編の動きがあるようだ。政治の世界であるからそうした動きがあることもよく分かる。昨年12月の衆院選や今年7月の参院選で、衆参のねじれは解消され、政界は圧倒的な巨大与党対脆弱な野党との対立構造が指摘される。いわゆる1強多弱だ。巨大与党に対抗するには野党がまとまらなければ太刀打ちできない、だから野党再編が必要だ、ざっとこんな感じで進められるのかもしれない。政党の離合集散は、最近の日本政治の常でもある。
しかし私はかえって拙速な野党再編は、国民の政治不信をますます高めこそすれ何の利益にもつながらないと考えている。第一、理念も政策も異なるもの同士が無理矢理集まってどうするの、と感じている。大事な憲法問題にしても、上記の野党3党の考え方は全く一致していない。しかも維新の会もはっきり言ってバラバラだ。維新の会は改憲の方向性を打ち出しているようだが、憲法を破棄せよと言う御仁もいれば、憲法のどの条文をどのように変えるのか、その目的は何なのか、だいたいはっきりしない。
みんなの党にしても、改憲の方向性はあるようだが、その前にやるべきこと、すなわち行政改革が最優先だと言っていて、例えば公務員の人数は大幅削減を主張している。原発問題、再稼働などのエネルギー問題は現在の日本では大きな問題だが、これも一致しているとは思えない。消費増税への対応もしかりだ。
ざっと見ただけでもこんなにも考え方が違うのに、とてもとても一緒になれるようなものではないだろうし、もし一緒になると言うのであれば、それこそ理念も政策もそっちのけで、とにかく無理矢理くっつけるという風にしか見えない。これでは単なる野合に過ぎないし、おそらく自民党からも足下見られるのではないか。しかも野党再編をしたところで、巨大与党に勝てるわけもない。巨大な政権与党を揺さぶることも大して期待できない。
私は、今は耐えるときだと思う。野党の中心は何だかんだと言っても民主党でなければ無理だ。今の政党を見ても、自民党と民主党はいわば総合型のデパートであって、政治のどんな分野であっても一応の政策もあれば対応も可能だ。それなりの力を持っている。
これに対して維新の会もみんなの党も悪いけど個人商店の域を出ていない。党代表の個人的な人気で寄せ集められたものに過ぎないし、また政策に於いても例えば、維新の会は地方分権分野は得意であっても、それ以外はどうか、みんなの党は官僚体制に切り込んでの行政改革は得意であってもそれ以外はどうか。例えば私の関心がある司法の分野ではどのような主義主張があるのか、どこまでの実現性があるのかよく分からない。公共事業についてもどのようなスタンスなのか、本当に無駄な公共事業を排除できるのか、よく分からない。
この点、民主党は良くも悪くも一旦は政権を担当し、その政権の中で多くの分野での政策論議を行い、全体としては「コンクリートよりも人」ということで社会保障を重視する方向性を打ち出し、それに向けて政策も打ち出してきた。その実現は決して容易ではないが、一定の成果も出しながら総合型のデパートにはなってきたのである。
やはり政権運営を見通すならば、国のあらゆる分野で対応できる、そして優先順位も打ち出せるといったことができるような組織体でなければならない。民主党も現在厳しい状況にあることは言うまでもないが、それでも自民党に取って代わりえる政党としては当分の間、民主党が頑張らなければならない。
私は拙速な野党再編は止めて、苦しいけれども地道に民主党の政策、人を大事にする政策を訴え、自民党政治の問題点を厳しく追及しながら来るべき時を待つしか再起の道なしと考えている。
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