ブラゼル　下克上アゲイン

　ロッテが延長戦で楽天を振り切った。０−０の７回１死一、三塁から代打ブラゼルの投ゴロの間に先制。９回に追い付かれたが、延長１０回にブラゼルの勝ち越しソロと根元の２点適時打で３点を奪った。楽天は好機であと１本が出ず、９イニング１失点の則本を援護できなかった。９回にジョーンズが同点ソロを放ったが、直後に救援陣が崩れた。

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　飛距離は十分。右翼ポールぎりぎりにライナー性の打球が飛ぶと、クリムゾンレッドに染まった場内がシンと静まりかえった。１０回、先頭のブラゼルが勝ち越しソロ。延長戦に持ち込んだジョーンズの同点弾で沸き返っていた楽天ファンに、１発で冷や水を浴びせかけた。

　推定年俸１５万ドル（約１５００万円）の格安助っ人は、大一番で大仕事をやってのけると「手応えは十分。あとはフェアかファウルかと思っていたけど、いい場面で本塁打が打てて本当にうれしい」と頬を紅潮させた。

　昨オフ、４年間在籍した阪神をクビになり、今季は米独立リーグのセントポール・セインツでプレーしていた。伊東監督の「一振りで試合を変えられる長距離砲がほしい」という希望で、６月末に入団。７月９日から１軍戦に登場すると、３カ月でチーム２番目に多い１１本塁打を放った。

　メジャー、独立リーグも含め６球団を渡り歩いてきたが「ここは最後まで諦めない集団。監督以下コーチも選手をリラックスさせてやろう、思い切って楽しんで野球をやろうというチーム。シーズン途中に来たが、毎日が楽しい」というチームに恩返しした。

　田中、則本という楽天が誇る２本柱の一角から白星をもぎ取り、楽天のアドバンテージを含む２勝１敗。Ｋスタはシーズン中２勝１０敗と最も苦手にしてきた球場だったが「ファーストを勝ち上がってからはそういう苦手意識はない。前を向いて戦っていくだけ」と伊東監督。３年前に３位から日本一に成り上がった短期決戦巧者たちが、いよいよ“下克上アゲイン”を実現させる。　（竹村和佳子）