巨人に敗れ、球場を引き揚げる広島の野村監督=東京ドーム
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◇CSセ・リーグ ファイナルステージ<第3戦>巨人3−1広島
16年ぶりのAクラスを確保、初のクライマックスシリーズ出場を果たした広島・野村謙二郎監督(47)の去就が微妙な状況であることが18日、分かった。試合後、来季の去就について「まだ分かりません」と、続投意思を示さなかった。来季への課題について報道陣から問われると、「来季のことは考えていない」と口を閉ざした。チームに同行している鈴木清明球団常務取締役は、「近日中に結論を出します。戦力が足りないながらもここまでチームをつくってくれた功績に対しては評価したい。これからのことも考えて決めたい」と語り、続投が前提ではないことをほのめかした。
同監督は昨年で3年契約の任期が切れ、新たに1年契約を結んでいた。鈴木球団常務は「近々に話はします。また発表します」と明かした。話し合いの日時は不明だが、ドラフト会議のある24日までには監督問題をクリアしたい意向だ。
来季の去就について続投を明言しなかったのはなぜなのか。一番の要因は体調面かもしれない。昨季ごろから体調を崩し、オフだけでなくシーズン中も通院していたという。16年ぶりAクラスで来季への飛躍が期待される広島だが、野村監督の去就問題で風雲急を告げそうだ。
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借金チームの日本シリーズ進出を夢見るのは、あまりに虫が良すぎたのかもしれない。史上初の借金チームのファイナルステージ進出を果たした広島。3試合でたった3得点では、勝てというのは無理な話だろう。巨人に3連敗で、赤ヘルの2013年はあっけなく終戦を迎えた。
「3連敗したからといって劣っているとは思わない。若い選手がシーズンから力をつけてくれたし、16年ぶりにAクラス。クライマックスに出てさらに自信を付けてくれたと思う」。野村監督は悔しさをかみ殺し、選手の成長をたたえた。
それでも9月以降、16勝9敗1分けでCS初出場を決めた。この快進撃は、実力や年俸など恵まれていないチームでも勝てるんだ、と共感した女性ファンを増やし「カープ女子」と言われる流行語まで作った。敵地・甲子園も赤く染める旋風を起こした。「ノムケン、ありがとう!」。帰りのバスに向かう野村監督に、ファンのねぎらいの声が飛んだ。 (宮脇渉)
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