核不使用声明:日本政府が署名へ…被爆地から歓迎の声
毎日新聞 2013年10月19日 00時34分
核兵器の非人道性と不使用を訴える国連総会第1委員会の共同声明に日本政府が署名することに、被爆地・長崎や広島からは歓迎の声が上がる一方、政府の対応の遅さに批判が出ている。声明は修正によって核抑止力を否定しない内容となっており、「唯一の被爆国として日本が核不使用と廃絶に向けて主導すべきだ」との注文も相次いだ。
長崎大核兵器廃絶研究センターの梅林宏道センター長は「長崎市の平和宣言などいろいろなところから強い反発が生まれたことに対する政府の方針転換であり、大きな意味がある」と評価。「日本は核兵器に依存しない安全保障へ政策転換しなければならない」として、政府が核不使用・廃絶に向け具体的な行動に出るよう求めた。
長崎県被爆者手帳友の会の井原東洋一会長(77)も「前回まで認めなかった『いかなる状況でも核兵器を不使用」との文言を認めたのなら一歩前進」。長崎原爆遺族会の正林克記会長(74)は「一定の評価はできるが、これまで署名を見送り、他国の後ろについていくのは被爆国として情けない」と批判しつつ、「脱・核抑止力を目指すきっかけにしてもらいたい」と指摘する。
また、被爆者の佐久間邦彦さん(68)=広島市西区=は「声明に賛同するだけでなく、核兵器のない世界に向けて日本はイニシアチブを取るべきだ」と注文した。【樋口岳大、小畑英介】