韓国:米国への不満高まる…日本の集団的自衛権巡り
毎日新聞 2013年10月18日 23時54分(最終更新 10月19日 00時02分)
今月上旬のアジア太平洋経済協力会議(APEC)などで日韓首脳会談が実現せず、韓国が議長を務める日中韓首脳会談の年内開催に動くべきだとの声もあるが、韓国外務省幹部は「(尖閣諸島問題をめぐり難色を示す)中国の態度に変化はない。日中間の問題だ」と話し、積極的に乗り出す動きは見られない。米韓関係に詳しいソウル大の辛星昊(シンソンホ)教授は「韓国では日本ほど米国の様子はうかがわず、世論を重視する傾向がある」と解説する。
一方、MDシステムをめぐり、韓国は米国が参加を強く求めてきた米国主導のMDシステムには参加しないとの立場を取ってきた。ただ、北朝鮮の核・ミサイルの性能向上を受け、韓国軍内で海上配備型迎撃ミサイル「SM3」や移動式地上配備型の「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」の導入を検討中との報道が韓国メディアで相次いだ。
国防省報道官は15日の定例会見で「下層(低高度)防衛とは高度100キロ以内を通常言う。THAADも下層防衛だ」と述べ、THAADの導入検討を示唆。翌16日、金寛鎮(キムグァンジン)国防相が緊急の記者懇談会を開き、SM3やTHAADについて「導入を決定してはいないし考慮もしていない。(米主導の)MDには入らない」と否定し、釈明に追われた。
また、米国が主導する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉についても韓国の立場はあいまいだ。未定というのが公式見解だが、尹炳世(ユンビョンセ)外相は14日、国会で「参加の必要性について政府内外で相当な共感がある」と述べたうえで、中国について「最近は反対意見は減った」と話し、中国に配慮しつつ前向きに検討中との姿勢をにじませた。