岩田日銀副総裁:2年で物価2%未達なら見直す-量的・質的緩和
10月18日(ブルームバーグ):日本銀行の岩田規久男副総裁は18日午後、中央大学多摩キャンパスで講演し、消費者物価上昇率2%の物価安定目標が2年程度で達成できないなら、現在の量的・質的金融緩和策を見直す考えを示した。同時に同政策は、物価上昇率の前年比が「かなりの間、2%で安定することを見極めるまで」続けると述べた。
岩田氏は「2年を念頭に置くが、それで達成できなくても、できるだけ2年に近いスピードで達成すると約束した。これは後に引けない。2%のインフレ率が安定的になるまで、絶対に金融緩和の程度を緩めない」と述べた。さらに「ちょっと2%に近づいてきたら、もう金融緩和をやめるということはしない」と語った。その上で「2年くらいで、なかなか達成できないなら、どこに問題があるかを見直す」と語った。
日銀は4月4日に量的・質的金融緩和策を導入。「消費者物価の前年比上昇率2%の物価安定の目標を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」と表明した。また、量的・質的金融緩和は「2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する」と約束した。
岩田氏は量的・質的金融緩和策について「本格的に効果が表れるのはこれからだ」としながらも、「いくつのリスク要因がある」と指摘。「世界経済の成長率が落ちるという予測が国際通貨基金(IMF)などで出ている」とした上で、「円安が進んでも、それほど輸出が伸びないという原因になる」と述べた。さらに、「昨日一応、暫定的に解決した米国の財政問題、それからアジアで中国の成長率が鈍化しているなどリスク要因がある」と語った。
2%インフレ無理なら新しい手段岩田氏はその上で、「2%のインフレが今の金融政策だけでは不十分ということになるのは、海外のリスク要因が一番大きい。そういうことがあれば、日銀はまた何らかの対応を当然する」と言明。「それは逐次投入でなく、中長期的に見て、日本経済がやはり2%インフレに到達することが無理だということになれば、また新しい手段を考える余地はある」と語った。
講演後の質疑応答では、世界経済について「4月に想定していたよりも悪くなっており、下振れリスクが少し出てきた」としながらも、「経済対策を織り込むと、世界経済の下押し圧力をある程度抑えることができる」と言明。来年4月の消費税率引き上げ後も「今のところ大きな屈折は心配していない」と述べた。
一方で、「経済は不確実なので、中長期的に来年に2%のインフレが難しいということになれば、何らかの対策を考える」と語った。
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更新日時: 2013/10/18 17:20 JST