減少した日本人観光客を呼び戻したいと、韓国釜山(プサン)市などがシニア向け長期滞在(ロングステイ)の可能性を探っている。日本人の長期滞在が日韓友好の一助になるのか−。釜山市主催のツアーに参加した。(村島有紀)
◆初のセミナー開催
韓国といえば、ショッピングとグルメ、観光などをセットにした2、3泊の短期海外旅行の代表格。釜山市の場合、釜山・金海国際空港から入国し、チャガルチ市場(海鮮市場)など観光地を1、2カ所回り、古都と呼ばれる慶州市に移動して宿泊、ソウル市内を観光して出国するパターンが多かった。
「韓国は日本と同じように午後8時以降にも電車に乗れ、早朝に1人で散歩をしていても安全。ロングステイするなら今は釜山の時代です」
9月29日、釜山市にある高級リゾートホテルで、ロングステイ財団(東京都港区)主催の「第1回釜山ロングステイセミナー」が開かれ、韓国観光公社の担当者が釜山の魅力をアピールした。
集まったのは定年退職者や退職予定のシニアら約20人。韓国観光公社が3泊4日の旅費の半額(名古屋出発で3万円)を負担するモニターツアーに参加した旅行者らだ。
セミナーでは、釜山市内でロングステイサロンを運営するコンサルタント会社による不動産の賃貸制度の説明も。その後、参加者は地下鉄で移動し、市場での買い物、救急病院や不動産を見学した。
三重県桑名市の藤田和民さん(68)と裕子さん(68)夫妻は「ドラマの『冬のソナタ』を見てから娘と一緒に韓国へ何度も旅行しましたが、3泊4日ぐらい。もし、長期滞在したら、昔の両班(ヤンバン)(李氏朝鮮時代の支配階級)の家などいろいろな場所を回りたい。病院を見て、医療面での不安もなくなりました」と笑顔で話す。