左は読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆の渡辺恒雄氏。右は朝日新聞社代表取締役社長・木村伊量氏(12年6月26日日就任)。両新聞社は、会社間にまたがる現役記者による巨額の恐喝事件で記者を懲戒解雇したが、その不祥事を隠蔽していた。写真は両社HPより。
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朝日新聞と読売新聞が、記者クラブ仲間の元記者2人から解雇無効を求め訴えられている1つの事件。その裁判資料をひもとくと、驚愕の事実が次々と明らかになった。2人は昨年6月、年下の朝日記者を乱交パーティーに誘い、その記者の携帯アドレスにある女性たち90人に「売女やらせろ」となりすましメールを送信、携帯はゴミ箱に投棄。さらに、その年下記者から傷害を負わされたとして土下座を強要、慰謝料名目で計327万円を恐喝して払わせ、追加で数百万円単位を脅しとろうとした。これらおぞましい事実は、社内調査文書、示談書などに、克明に記されていた。この犯罪行為によって記者2人は昨年9月、密かに懲戒解雇に。今年5月、2人は突如として、冤罪で解雇されたと地位確認を求め会社を訴えたが、その言い分に説得力はなく、結果的に事件の全貌が法廷に出ることになった。前代未聞の懲戒事件と法廷での原告、被告両者の言い分から、巨大新聞社の仕事現場の日常やカルチャー、報酬水準と金銭感覚、記者クラブ内の馴れ合い体質までが見えてきた。
【Digest】
◇「3人で性行為をしたい」
◇「バイタリティあふれる売女やらせろ」と約90人の女性に送信
◇「朝日と読売は清武問題で係争中、告訴したら大変なことに」
◇カラオケ店で土下座させて「いくら払えるか?」
◇詐欺、強要、脅迫、偽計信用毀損行為…犯罪の全容
◇原告の主張
◇被告の主張
◇原告「無回答」、朝日読売「正当性を裁判で明かにする」
◇「3人で性行為をしたい」
朝日・読売新聞社側それぞれが裁判所に提出した、社内調査文書、示談書、加害者が会社に提出した陳述書、懲戒処分通知書などの証拠書類によると、恐喝懲戒解雇事件の内容は、以下の通りだった。
まず、加害者は、朝日新聞東京本社スポーツ部の黒崎康平氏(現33歳、仮名)。そして、読売新聞東京本社運動部の青木貴敏氏(現33歳、仮名)。
被害者は、朝日新聞東京本社スポーツ部の、栄倉直樹氏(現31歳、仮名)。加害者2人よりも2歳年下である。
黒崎氏は、04年4月に朝日新聞社に入社し、12年1月から東京本社スポーツ部に勤務した。被害者の栄倉氏も黒崎氏と同期入社で、12年4月に内勤の編集センターから、念願のスポーツ部記者に異動となり、プロ野球パリーグの、関東のある球団を担当した。
朝日社内で年上の黒崎氏は、仕事とプライベート両面で栄倉氏の相談に乗っていたが、徐々に栄倉氏の言動が「恩知らずだ」と感じるようになったという。例えば12年1月に黒崎氏が長期出張することになり、黒崎氏を励ます飲み会が開催された。その席に、栄倉氏は無断欠席したりして、黒崎氏は腹を立てていたという。
また、同じ記者クラブ仲間の、読売新聞スポーツ部記者の青木氏も、栄倉氏を不快に思っていた。理由は、青木氏が選手や監督に単独取材をしている最中に、栄倉氏が割り込んできたことなどがあったためだという。
そこで、朝日の黒崎氏と、読売の青木氏は、年下の朝日記者である栄倉氏を懲らしめてやろう、と考えていた。
そんな中、読売の青木氏が、朝日の黒崎氏に、こう聞いてきたことがあった。
「交際している女性を呼び、3人で性行為をしたい」
朝日の黒崎氏は、乱交パーティーができるという期待から、応諾した。
すると読売の青木氏は、「そこに栄倉も呼ぶ」「栄倉の写真や動画を撮ったら、おもしろいんじゃないか」ともちかけ、黒崎氏も、同意した。
その後、青木氏は、他社の年下記者である栄倉氏に、乱交のことは一切いわず、飲み会がある、と誘い、栄倉氏は応諾した。
こうして12年6月16日、飲み会がはじまった。1次会は20時頃スタートした。銀座のダイニングバー「ROOTS」の、個室での合コンだった。これは青木氏が女性の友人3人に声をかけて行われた。
その席で、黒崎氏と青木氏は、栄倉氏に対し、野球の原稿が下手、球団幹部の携帯電話を知らないのは未熟、などと批判した。
23時頃、1次会が終了し、女性3人と別れた。ここまでは、事前の予定通りだった。この後、男3人で、2次会の「コートヤードマリオット銀座東武ホテル」に移動し、そこで乱交が行われる手はずになっていた。
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乱交が行われたホテル
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こうして一向はホテルへ向かった
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恐喝の現場となった都内の水道橋にあるカラオケ店。写真上2枚は筆者撮影。写真一番下はホットペーパーより |
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「示談書」の概要(※筆者が裁判資料をメモして作成したもの=コピーや撮影はできないため) |
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上から12年4月6日、翌7日、13年2月1日付の朝日新聞朝刊の記事。同紙国際編集部記者の永田篤史氏(当時35歳)が自宅で妻(当時37歳)の顔面を平手で殴り怪我を負わせた疑いで逮捕され、略式起訴された。この永田記者は今も同社で記者をしているのに、自分が懲戒解雇されたのは不平等だ、と黒崎氏は訴えた |
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懲戒解雇処分の理由を記した「処分通知書」の概要
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