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2013.03.05走れ!近鉄豪華特急

今月21日にデビューする近鉄の豪華新型特急「しまかぜ」に女性アテンダントが導入されることになりました。最高級のサービスを目指す1期生の研修に密着し、そのウラにある“企業の思惑”を追いました。

メイク研修で一心不乱に化粧に勤しむ新型特急のアテンダントたち。およそ7倍の倍率を突破した22人が採用されました。ちなみに、みなさんの前のお仕事は?

新人アテンダントたち
「東京ディズニーランドでキャストをしておりました」
「法律事務所で事務員をしておりました」
「今も現役の女子大生をやっております」

と、さまざま。研修では言葉遣いや観光名所の勉強はもちろん、きれいな歩き方から腕時計などの持ち物チェックまで多岐にわたります。池田みどりさん(33)も夢を叶えようとこの世界に飛び込んだ一人です。

池田さん
「飛行機のキャビンアテンダントと同じようなものが地上にあるんだと思い、そこに憧れて応募しました」

池田さんたちが乗り込む「しまかぜ」は大阪・名古屋と三重の賢島を1日1往復します。私鉄で初めて全席3列シートを採用し、スピードよりも豪華さが重視されています。和風タイプの個室もあれば、軽食が楽しめるカフェテリアに、先頭車両は総ガラス張りの展望ビューと楽しさ満載です。

近畿日本鉄道 能川さん
「『しまかぜ』は乗ること自体が目的となる特急でして、グループのお客様、それと比較的経済的に余裕のあるシニアの年齢層をターゲットに考えております」

そんな近鉄が追い風として期待しているのが伊勢神宮の「式年遷宮」です。「式年遷宮」とは、20年ごとに全ての社殿を新しく造り替え、御神体を遷す祭典です。その歴史は1300年に及び、今回の式年遷宮はこの秋にクライマックスの「お引越し」を迎えます。その伊勢神宮を糸口に、さらに志摩地域まで客を呼び込む切り札が「しまかぜ」なんです。近鉄の熱い期待を背負ったアテンダントたちはこの日、「しまかぜ」に乗り込む車掌との合同研修に参加しました。

講師
「飛行機のサービスを目指しても、飛行機以上のサービスにはいかないですよね。目指すのはなんですか?飛行機ですか?目指すところをもっと高いところに置かないと」

叩き込まれる豪華特急の理念。“最高のおもてなし”が求められます。笑顔もそのひとつです。

講師
「最初にこう口角をキュっと上げてもらえます?」

笑顔が苦手の池田さん・・・。彼女はシングルマザーで、中学生の娘と二人暮らしです。一人娘に夢を追いかける姿を見せたい気持ちはありますが、これまでは塾の事務員などをしていて接客経験が少なく、娘との自主トレは欠かせません。

池田さん
「子どもに『かっこいいなぁ』って言われるような、ピシーっと襟立てて、毎日しまかぜのアテンダントとしてがんばりたいと思います」

本番まで1ヵ月半。近鉄の高安車庫でいよいよ「しまかぜ」を使っての実車研修が始まりました。車内では覚えることだらけです。

講師
「カウンター係、ここでお客様とやりとり」
「汚れた食器をここで置いていきます」
「しっかり覚えといてほしいのがこれ、非常の扉」

池田さんも実演しますが、本物の車両ではコツがつかめないのか、早速注意を受けます。

講師
「上から『どうぞ』という感じだったんで、ひざを落としてください」

朝から晩まで、特訓の日々が続きました。

そして今月2日、ついにお客さんを乗せての試乗会を迎えました。

池田さん
「すごく緊張してます。笑顔でお客様に接して気分良くお帰りいただく、そしてプレミアムな接客、サービスを心がけて今日はがんばりたいと思っています」

招待客は120人。これまでの研修の成果が試されます。列車が出発すると、早速おしぼりを配りますが、池田さんの表情は硬いまま。ワゴンサービスでは、「ホットコーヒー(350円)を3つ」とお客さんから注文を受けましたが、合計がいくらになるか分からないほどほど緊張してしまう場面もありました。それでも、笑顔で接客する仲間に引っ張られて、池田さんにも徐々に笑顔が出るようになってきました。大阪を出て2時間半、「しまかぜ」は終着駅・賢島に着きました。

池田さん
「笑って、一応お客様に笑顔で対応できたかなと思います。デビューがいよいよだなっていう感じがして、ちょっとドキドキと感動もあったりしてます」

池田さんたちアテンダントは、伊勢志摩に観光客を呼び込むことができるのか、「しまかぜ」は21日、デビューの日を迎えます。