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ビストロメイトリサーチ
~「プロの目」で調査データを読む~ 第1回
外食全般に関する実態調査-女性編-
外食全般に関する調査を実施し、以下対象者103名より有効回答を得ました。調査結果を、フードビジネスコンサルタントの清水均氏によるコメントを交えてご紹介しています。
調査概要
調査日 | 2005年8月26日(金)-27日(土) |
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対象者 |
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調査項目一覧
清水均氏によるコメント
年齢・職業・地域内訳
週1回以上夕食に外食する働く女性の実態調査である。対象者は首都圏のキャリアウーマン(2割のパート・アルバイトを含み)を主体とする、バランスの取れた調査データとなっている。
わずか10問の質問ではあるが、それらの結果を複合的に見て行くと示唆に富んだ、今後の業態開発や転換、メニュー開発などに欠かせないポイントが潜んでいることが分かる。
Q1:外食する理由
外食に求めるニーズは友人・同僚との付き合いが46.6%、家庭では作れないおいしいものを食べたい15.5%、食事を作るのが面倒12.6%、次いで家族の団らん、家の食事と雰囲気を変るためであり、合計87%となっている。 (Q1)
Q2:利用する店
利用するお店は客単価を考慮し、様々な業態を使い分けていることが推測される。(Q2)
Q3:店を知った理由
特に注目すべきはファミリーレストラン《FR》、ファストフード《FF》、コーヒーショップ(カフェ)《CS》を除き、「ぐるなび」などで検索し、職場近くの店を主体に利用している点である。(Q3)
Q7:店で使う金額
その傾向は日本料理、焼肉、洋食、居酒屋、中華の専門店や居酒屋の高級店であることが(Q7)の客単価との関連で分かる。中華、日本料理では「知人の紹介」も同様の傾向がある。また、麺類も知人の紹介の比率は高い。
これらから専門性の高い高単価店や麺類の著名店になるには、「ぐるなび」等によるオピニオンリーダー的な新規客誘致とその固定化による、口コミが女性客には大変有効な戦術となることが分かる。
Q4:店に行く理由
同様にこれらの業態に最優先に求められているのが「料理がおいしい」ことである。(Q4)
FR、FF、CSと麺類店は価格と近さの便宜性が優先されている。
麺類店は「おいしさ」と「便宜性」のどちらの比率も高い。これは店を選ぶ際の基準が顕著にそのどちらかの理由となっていることが十分想像できる。
Q5:店に行く頻度
CSは毎日利用する1割を含め、週に数回利用が90%を占めている。働く女性にとっては欠かせない癒しの場であり、若い女性の喫煙比率が高くなっていることも要因にあると考えられる。他の業態は週と月それぞれ1~2回が9割を占める。(Q5)
Q6:店に行く人数
利用に際しての人数も特徴的である。CSの利用は6割が1人、3割が2人と顕著である。その他の業態では居酒屋を除き5割以上が2人での利用となっており、次いで3~4人である。(Q6)
FR、FF、麺類店、CSを除きディナータイムに女性客主体の店では、2人席をどうゆったりレイアウトするかが重要なポイントとなる。これらは(Q7)(Q8)の客単価と滞在時間との関連からも分かる。また、5人以上で利用するのは居酒屋、焼肉、寿司店であり、個室的な要素があるから大人数が利用できると考えるべきである。
Q7:店で使う金額
1人当りの利用額は居酒屋、焼肉、日本料理店以外は千五百円までとなっている。注目すべきは洋食店と中華料理店の客単価のバラツキである。明確なコンセプトでターゲット(客層)を設定し、客単価に見合った業態に店頭を含め、店鋪デザインやサイン看板、商品、サービスに反映させないと中途半端になり、存続は難しいといえる。(Q7) 実際、洋食と中華の業態で中途半端なよく分からない店は多い。
Q8:店での滞在時間
滞在時間は客単価と連動していると考えるべきであり、女性の場合には居酒屋と日本料理店では2時間以上が当然と解釈すべきである。(Q8)
Q9:注文する飲み物
飲み物の傾向で興味深いのは、洋食店以外の日本料理、焼肉、中華、FRでのワインの比率である。また、日本料理店のウィスキーのオーダーは居酒屋と並び少数派の存在を示す。高級シングルモルトなどが多少流行る傾向が見られるが、和食店が自店の特長を出すためにも今後注目の必要はある。(Q9)
Q10:欲しいメニュー
欲しいメニューを見て分かる通り、野菜類のメニュー開発は必須であり各種温野菜料理など、まだまだ研究の余地はある。また、別腹商品となるデザートの要望も1割あり、他店との差別化と単価アップに独自の個性的な商品開発がポイントである。(Q10)
次回は同様の質問を男性に行うが、これらの結果も併せ今回のデータをさらに分析すると自店の方向性の確認やメニュー開発等の改善テーマが明確になる。
フードビジネスコンサルタント(亜細亜大学講師) 清水 均