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環境省との意見交換で環境アセス準備書について意見を述べる河本明代・大鹿村議(右)=17日、都内の参院議員会館 |
リニア中央新幹線計画に慎重な長野など5都県の住民や団体でつくる「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」は17日、JR東海の環境影響評価(アセスメント)は「客観性や公正さを欠く」などとして同社にアセスをやり直させるよう環境省に要請した。
同社が東京―名古屋間の7都県で開いたアセス準備書に関する説明会に出席した同ネットのメンバーら約40人が、都内で環境省のアセス担当者らと意見交換した。ネット側が「調査は各地域の特性を踏まえず住民への十分な聞き取りもしていない」と主張したのに対し、同省環境影響審査室の佐藤秀憲審査官は「同社の進め方は説明が不十分な点があったかもしれないが、法に沿って調査すべきことはしている」と述べた。
トンネル掘削に伴う水枯れの懸念に関しては「何事も起こらないということはない」とし、JR東海が工事中や完了後に行う事後調査の報告書を受けて、環境省として意見を述べると説明した。
長野県内からは下伊那郡大鹿村の河本明代村議が参加。席上、「村内での希少猛禽(もうきん)類や植生の調査範囲が足りない」などと訴えた。
同ネットのメンバーたちはこの日、国土交通省の担当者とも長大トンネル内の災害時の安全確保などについて意見交換した。その後、ほかの団体との共催で開いた学習会で、山梨県のメンバーは「騒音や振動など実害が見えてきた。町村など小さな単位でリニアへの賛否を示す住民投票を行うべきだ」と呼び掛けた。