秘密保護法:取材「正当な業務」 政府最終案
毎日新聞 2013年10月17日 21時56分
政府は17日、国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案の最終案を、自民党のプロジェクトチームに示した。政府原案で示した報道の自由に加え、国民の知る権利と取材の自由に「十分配慮」する規定を追加。さらに取材行為は、法令違反か著しく不当な方法によるものと認められない限り、「正当な業務による行為とする」と明記した。公明党も最終案を受け入れた。政府は来週法案を閣議決定するが、知る権利などに関する配慮の実効性に不透明さが残るなど懸念は根強く、厳しい国会論戦が予想される。
最終案は、行政機関の長が指定する「特定秘密」について、指定や解除の「統一的な基準を定める」と新たに明記。基準作りや変更には、情報公開や公文書管理など「識見を有する者の意見を聞かなければならない」との条文も追加した。首相らの私的諮問機関などで、有識者が基準が適切かをチェックする仕組みを想定している。特定秘密の指定は5年ごとに延長できるが、30年を超える延長には内閣の承認が必要とした。
知る権利は9月末に示された政府原案では記述がなく、世論や公明党の懸念を受けて安倍晋三首相らが明記に前向きな姿勢を示し、最終的に盛り込まれた。さらに公明党の要請で取材の自由を明記し、具体的に取材行為を罰則から除外する趣旨の規定も加えた。同党が求めた表現の自由は明記を見送った。
一方、最終案は基本的な枠組みでは原案を維持した。特定秘密は防衛、外交、特定有害活動防止、テロ防止の4分野で指定。漏えいした公務員は最高10年、関係業者は5年以下の懲役に、また▽人をあざむく▽暴行・脅迫▽コンピューターへの不正アクセス−−などで不正に秘密を入手した人も10年以下の懲役とするなど、現行法制より厳罰化する。【小山由宇】