ロッテに完封勝利し、ファンの声援に応える楽天の田中=Kスタ宮城
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◇CSパ・リーグ ファイナルステージ<第1戦>楽天2−0ロッテ
プロ野球の日本シリーズ出場権を懸けたセ、パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)は17日、ファイナルステージ(6試合制)が行われ、セはリーグ優勝の巨人が東京ドームでの第2戦で広島に3−0で2連勝した。リーグ優勝による1勝のアドバンテージがあるため、巨人は18日の第3戦に勝つか引き分けると2年連続での日本シリーズ進出が決まる。パは球団創設9年目で初優勝した楽天がKスタ宮城での第1戦で田中が3位ロッテを完封し、2−0で先勝した。楽天は1勝のアドバンテージがあるため2勝差とした。
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楽天が投手戦を制した。田中は球に切れがあり、7安打を許しながらも要所を締めた。打線は4回に銀次のソロで先制し、8回にマギーの左前打で貴重な1点を加えた。ロッテは1、2回の先制機を生かせず、成瀬を援護できなかった。
絶対エースが力いっぱいのガッツポーズで締めた。9回。田中がマウンドに向かう。背中にはKスタ史上最多となる2万4332人の大歓声。最後はこの日最速となる151キロで見逃し三振。絵になる男は、右コブシを突き出した。
初となるファイナルステージの本拠地開催。大黒柱がその幕開けを完封で飾った。CSでは09年からすべて完投で3戦3勝。レギュラーシーズン24連勝の無敗神話は、ポストシーズンで第2章を迎えた。
お立ち台に上がった主役は、いつになくハイテンションだった。第一声は「ヨッシャーッ!!」。岩手県出身の銀次の先制ソロが飛び出した場面を聞かれると、「じぇじぇじぇ!」。普段とは違う田中の姿だった。
リーグ王者として、3位からの巻き返しを狙うロッテを迎え撃つ。伝説の男も、独特の緊張感に身震いした。ただ、その難攻不落の投球に変化はない。序盤は走者を許しながら、後続を断つ。中盤からは「久しぶりに良かった」というスライダーを軸に抑え込み、付け入るスキを与えなかった。
この日の仙台は冷え込んだ。午後7時の気温は12・6度。吐く息が白く曇る東北の夜も、イヌワシ軍団には慣れたもの。田中は「相手の方がきつかったんじゃないですかね」とニヤリ。本拠地開催のメリットも存分に生かした。
岩隈に次ぐ存在だった4年前のCSとは立場が変わった。自他ともに認める大黒柱。3月下旬、開幕投手の大役に不安を抱える則本にロッカールームで近づくと、「今の力を出せばいい」と背中を押した。
責任感を身に付けたエースは言った。「こういう試合は勝てば良いんですけど、良い緊張感の中で、選手全員の力で2−0の完封で勝つことができたのは、明日以降にもつながると思う。大きかったですね」。日本一に向かうイヌワシ軍団。ポストシーズンも、その中心には田中がいる。 (井上学)
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