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秘密保護法案―疑問の根源は変わらぬ

安全保障にかかわる秘密漏洩(ろうえい)への罰則を強める特定秘密保護法案について、政府と与党は「知る権利」や「取材の自由」を明記するなどの修正で合意した。内閣は近く閣議決定し、国会へ提出する予[記事全文]

米財政危機―先送りに終わらせるな

米国債は、米政府の借金の証文である。その利払いや返済が滞れば、リーマン・ショックを超える破局を招く。米財務省がそう警告した危機は、期限ぎりぎりで回避された。議会が政府債[記事全文]

秘密保護法案―疑問の根源は変わらぬ

 安全保障にかかわる秘密漏洩(ろうえい)への罰則を強める特定秘密保護法案について、政府と与党は「知る権利」や「取材の自由」を明記するなどの修正で合意した。内閣は近く閣議決定し、国会へ提出する予定だ。

 政府の原案に対し、言論界や法曹界から国民の知る権利を制約するといった批判が出た。修正は、これを受けた公明党の主張を反映したものだ。

 だが、チェックがないまま特定の情報が秘密にされ、後世の検証も保証されない法案に対する根本的な疑念は解消されていない。このまま国会に提出することには反対だ。

 法案の骨格はこうだ。防衛、外交、スパイ活動の防止、テロ防止の4分野で、漏れれば国の安全保障に支障をきたすおそれがある情報を閣僚らが「特定秘密」に指定。漏らした公務員や民間の関係者には、最長で懲役10年の罰則が科せられる。

 問題なのは、何が特定秘密に指定されているかさえわからず、指定が妥当かどうかの検証ができない点だ。秘密指定の有効期間は5年が上限だが、何度でも延長が可能だ。これでは永久に秘密とすることができる。

 政府は与党側からの要求を受け、知る権利や報道、取材の自由に「十分に配慮しなければならない」と条文に明記。また、秘密指定の基準をつくる際には有識者の意見を聞くことを義務づけ、30年を超えて秘密指定を続けるには内閣の承認が必要とすることにした。

 それでも、秘密指定が閣僚らの判断に委ねられていることに変わりはないし、30年目に内閣の承認が得られれば、その後も指定期間の延長は可能だ。

 安全保障上、秘密にしなければならない情報があるのはわかる。だが、公務員の一般的な守秘義務や自衛隊法などによる防衛秘密保護の仕組みを超えて、新たな立法をする必要があるのかは疑問だ。

 沖縄返還などにからむ米国との密約をひた隠しにしてきたことに代表されるように、情報公開にきわめて消極的な政府の姿勢を、私たちはさんざん見せつけられてきた。東日本大震災をきっかけに、政府の意思決定の重要会議の記録が残されていないことも表面化した。

 こうした体質がある限り、政治家や官僚が、新たな法を錦の御旗に情報を独占しようとする傾向が強まる危惧はぬぐえない。そうでなくても、報道機関の取材に公務員が萎縮してしまうおそれが強い。

 報道や取材の自由を明記しても、何の担保にもならない。

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米財政危機―先送りに終わらせるな

 米国債は、米政府の借金の証文である。その利払いや返済が滞れば、リーマン・ショックを超える破局を招く。米財務省がそう警告した危機は、期限ぎりぎりで回避された。

 議会が政府債務の上限を引き上げる法案を可決、暫定予算も成立させ、半月あまりに及んだ政府の一部閉鎖も解かれる。

 共和党内の「ティーパーティー(茶会)」と呼ばれる強硬派らは最後まで抵抗した。だが、土壇場で党内の穏健派と民主党が協調して押し切った。

 不毛な政争が招いた混乱は、共和党の敗北に終わった。米国民の暮らしや世界経済を人質にとる瀬戸際戦術は、多くの国民から見放され、国際的な米国の信用もおとしめた。

 共和党は17年前の政府閉鎖でも同じ失敗をしている。自分の支持基盤しか考えない狭量な行動は国益どころか党益にもならない。責任ある大国の政治家としての良識を取り戻すべきだ。

 米議会では2011年以降、上院を民主党、下院を共和党が支配している。そのねじれに起因する「決められない政治」は世界経済のリスクとなった。

 今回の合意も当座の先送りでしかない。債務上限の引き上げは来年2月7日まで、暫定予算は1月15日まで、それぞれ期限がついている。その間、改めて与野党が赤字財政を中長期的に再建するための合意を探る。

 だが、来年は選挙の年だ。妥協は一層難しくなる。最大の争点である医療保険改革は1月から本格運用へ動きだし、春夏の予備選を経て、11月の中間選挙まで活発な論争が続く。

 その状況下では、次の期限の2月までにまた、同じ危機が再演される恐れがある。

 各議員が選挙区の有権者の意向だけに縛られがちなのは、構造的な問題もある。各州で選挙区が政党の支持分布に従って区分けされ過ぎたために、個々の議員が全米の世論を必ずしも尊重しなくなっている。

 米国の予算制度にも特徴がある。歳出入を管理して財政健全化を図る面では優れているが、決定権が議会両院と大統領に分断され過ぎている弱点がある。米政治はその制約を長年、良識による妥協で乗り越えてきた。

 だが今では、「大きな政府」「小さな政府」の対立軸を超えた共通点を見いだす調整機能が細り、少数の極論が議会全体を振り回す傾向が強まっている。

 問題の先送りと危機の繰り返しは米国のためにも、世界のためにもならない。米議会はその現実を直視し、健全な政治機能を早急に立て直す必要がある。

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