消防庁:スプリンクラー基準強化を検討 医院火災受け
毎日新聞 2013年10月18日 07時00分
福岡市の医院「安部整形外科」で10人が死亡した火災を受け、総務省消防庁は診療所(医院)のスプリンクラー設置基準など消防法に基づく現行の防火基準を見直す方向で検討を始めた。同外科がスプリンクラー設置義務の対象外で初期消火の態勢に支障をきたしたことから、基準強化が急務と判断したとみられる。有識者や関係省庁を集めた検討会を設置し、見直しを含めた再発防止策をまとめる方針。
今回の火災では、建築基準法に基づき設置されている防火扉が機能しなかったことに加え、小規模医療施設のスプリンクラーの問題がクローズアップされた。消防法施行令によれば、福祉施設では延べ床面積が275平方メートル以上の場合にスプリンクラーの設置を義務付けている。一方、医療施設では19床以下の「診療所」は6000平方メートル以上、20床以上の「病院」は3000平方メートル以上でなければ設置義務がなく、安部整形外科も含めた大半の小規模医療施設は対象外だった。
消防庁によると、病院の設置基準は1987年に施行令を改正した際、6000平方メートル以上から3000平方メートル以上になった。診療所については長期入院の患者がいないとして変更されず、06年の医療法改正で長期入院が可能になった後も見直しがされなかった。消防庁はスプリンクラー以外にも医療施設の初期消火対策などについて検討会で措置を講じる方針だ。【桐野耕一】