正常な白血球5分類がマスター出来たら未熟な顆粒球の分類をマスターしましょう。図7に造血細胞の分化と成熟について示しています。
赤芽球系の成熟については図に示すとおりですが、末梢血に関しては全て一括して赤芽球と表現します。末梢血中の未熟細胞のほとんどは好中球系の未熟細胞ですから確実にマスターする必要があります。単球の未熟細胞は一部の腫瘍性疾患で出現しますが、上級者でも分類は大変難しいので今回は省略いたします。巨核球系細胞、好酸球・好塩基球細胞の未熟系は中級者用に用意いたしますのでしばらくお待ち下さい。
リンパ球はTリンパ球、Bリンパ球の光顕レベルでは区別することができません。
図8に、3系統(顆粒球系、赤血球系、血小板系)の分化成熟について解説しています。
顆粒球系細胞は骨髄芽球から骨髄球までの各段階で細胞分裂が可能であり、骨髄芽球から分葉核好中球まで成熟するのにおおよそ6日間必要であるといわれています。核小体は骨髄芽球から前骨髄球まで存在し重要な鑑別のポイントになります。ただし、これは状態によってはみえない場合もあります。顆粒はアズール顆粒(一次顆粒)が骨髄芽球では少数のため見えませんが、前骨髄球で多数のアズール顆粒が出現し、骨髄球では特殊顆粒(二次顆粒)が出現します。これらの顆粒は最終段階まで消える事はありません。
赤血球系細胞は前赤芽球が形態学的に最も未熟な細胞として認識されます。核小体が存在し、細胞質はヘモグロビンを含まずに、RNAに富むために好塩基性を示します。前赤芽球が分化して好塩基性赤芽球となりヘモグロビン産生が始まります。以降、多染性赤芽球、正染性赤芽球と成熟して、網赤血球の段階で骨髄から末梢血に放出されます。細胞の分裂能は多染性赤芽球までとされていて、前赤芽球から赤血球になるまでには3日から4日を要します。 血小板系細胞は、他の血球とは異なりendomitosisを繰り返して成熟します。このendomitosisとはDNA合成に細胞分裂を伴わない分化の形式を指します。巨核芽球(2N)から血小板の産生までにはおよそ2.5日かかるといわれています。