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いわき沖 震災後初の試験操業
10月18日 6時1分

いわき沖 震災後初の試験操業
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東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、2年7か月にわたって漁が行われていなかった福島県いわき市の沖では、18日、震災後初めて試験的な漁が始まりました。

福島県の沖合では、原発事故の影響で漁業が全面的な自粛に追い込まれ、去年6月から県の北部の海域で試験的に再開されましたが、南部のいわき市の沖合では放射性物質への不安からこれまで1度も漁が行われてきませんでした。
福島県漁連では、魚介類や海水の放射性物質の検査結果からいわき市の沖についても安全性を確保できるとして試験的な漁を始めることを決め、18日から地元の2つの漁協が2年7か月ぶりに漁を再開しました。
初日の漁には、市内の4つの港から13隻の底引き網漁船が参加することになっていて、このうち久之浜漁港では、午前3時ごろ漁船が次々と沖合に向かいました。
今回の試験的な漁は、漁を行う海域を福島第一原発から40キロ以上離れた海域に限定したうえで対象の魚介類もタコや毛ガニ、それにいわき市特産のメヒカリなど16種類に絞っています。
昼前には水揚げして、魚介類ごとにサンプルを抜き取って放射性物質の検査を行い、値が国の食品基準を大幅に下回っていることを確認したうえで、19日、県内各地に出荷される予定です。

漁業関係者から期待と不安

今回の試験的な漁で、最も多い7隻の漁船が出漁したいわき市北部の久之浜漁港では、午前3時前に漁業者たちが集まり、漁協の職員から、一部の認められた魚介類以外は水揚げできない点などの説明を受けていました。
そして、準備が整うと次々に沖に向けて漁に出発しました。
三誠丸の船長の北郷輝夫さんは漁に出発する前に、「期待3割、不安7割です。不安の7割というのは汚染水問題で消費者がどのようにこの試験操業をとらえるかですがとにかく頑張ります」と話していました。
一方、同じいわき市内の江名漁港から出漁した第二十三常正丸で船頭を務める矢吹正美さんは「やっと漁師の姿に戻ることができる。ようやくの一歩だが、消費者の信頼を得て本格操業に進むための大きな一歩になればいいと思う」と期待感をにじませていました。
いわき市の2つの漁協のうち、いわき市漁協の矢吹正一組合長は漁港で船の出港を見送ったあと、「2年半以上待ってようやくいわき市の魚を取って食べてもらえるようにすることができた。やっとスタートラインに立ったが風評被害や福島第一原発でのトラブルなどもあり、平たんな道のりではないと思う」と話しました。

福島県沖の試験的な漁

福島県沖の試験的な漁は、安全性と消費者の信頼を確保するため、海域と、対象とする魚介類を限定して実施されています。
福島県沖では、原発事故が発生した直後、海流が南に向かって流れていたため、事故後しばらくは福島第一原発の南側にあたるいわき市沖の海域の方が北側よりも魚介類の放射性物質濃度が高い傾向が見られました。
このため試験的な漁は、去年6月値が最も低かった北部の沖合の海域で始まりました。
その後、福島県などが定期的に続けている魚介類の検査で多くの魚介類の放射性物質の値は下がる傾向が続いていることから漁を行う海域は順次拡大され、ことし3月には北部の沿岸で小型船による漁も始まりました。
そして、今回、南部のいわき市沖にも海域が拡大され、いわき市の2つの漁協が初めて試験的な漁を行えるようになりました。
対象の魚介類は、放射性物質がたまりにくいとされ実際の検査でも値がほとんど検出されていないタコやツブ貝など当初の3種類から始まり、その後、徐々に増えて現在は比較的沖合の底引き網漁船でとる16種類と北部の沿岸でとるシラス・コウナゴの合わせて18種類になりました。

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