WHO PM2.5に発がん性10月17日 21時39分
中国で問題となっているPM2.5など粒子状の大気汚染物質について、WHO=世界保健機関は「発がん性がある」と初めて正式に結論づけ、国際社会が早急に対策を取るよう求めました。
WHOの専門機関で、化学物質などの発がん性について分析、公表しているIARC=国際がん研究機関は17日、スイスのジュネーブで最新の研究成果について記者会見を開きました。
この中で、呼吸器疾患の要因となり、発がん性も指摘されてきたPM2.5など空気中を漂う非常に小さな粒子状の大気汚染物質について、発がん性のリスクの5段階の危険度のうち最も高い分類に「肺がんの発がん性がある」と初めて結論づけたと発表しました。
さらに「大気汚染」全体についてもヒトが汚染された空気の中で生活を続けることで「肺がんの発がん性がある」と結論づけ、「がんによる死亡の主要な環境要因だ」と指摘しました。
IARCでは、人口が多く急速に工業化が進んでいる中国などの新興国は、ここ数年、粒子状物質などによる大気汚染にさらされる危険性が非常に高まっているとして、国際社会が早急に対策を取るよう求めました。
「お金あれば外国に住みたい」
WHOがPM2.5など粒子状の大気汚染物質に「発がん性がある」と初めて正式に結論づけたことについて、北京では健康被害を懸念する声が相次いで聞かれました。
このうち、40歳代の男性は「怖いのでマスクをしています。大気汚染への対策は始まったばかりで十分でないと思います」と懸念を示したほか、別の40歳代の男性は「病気になるのが怖いです。北京の空気は以前に比べ悪くなっているので、早くよくなってほしいです」と話していました。
また、中国東北部から旅行で訪れたという40歳代の女性は「体に影響が出るというのだから政府も市民も関心を持って取り組まなければいけないと思います。ただ、お金があれば外国に住みたいくらいです」と話していました。
注意喚起の暫定的な指針で対応
中国のPM2.5による大気汚染で日本への影響が懸念されていることを受けて、環境省はことし2月、一日の平均濃度が1立方メートル当たり70マイクログラムを超えると健康に影響を与えるおそれがあるとして、この数値を超えると予測された場合、都道府県などが住民に外出などを控えるよう注意喚起するとした暫定的な指針をまとめました。
指針ではPM2.5の濃度を早朝の3時間計測して、1時間当たりの平均濃度が1立方メートル当たり85マイクログラムを超えた場合は、一日の平均濃度が指針の数値を上回る可能性が高くなるという予測方法を示していました。
しかし、環境省がことし3月から5月までの3か月間に各自治体が行った指針の運用結果をまとめた結果、実際には、一日の平均濃度が70マイクログラムを上回ったにもかかわらず、早朝の1時間当たりの平均濃度が85マイクログラムを超えていなかったため、住民に注意を呼びかけられなかった日が5日あったということです。環境省は冬ごろから国内で計測されるPM2.5の濃度の上昇が懸念されるとして、18日、専門家で作る会議を開き、予測方法をどのように向上させるべきか意見を求めることにしています。
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