鈴木明子(邦和スポーツランド)は「彼女ならでは」という表現力が備わってきている。そこが評価につながっている。特にプログラムの後半は彼女が持っている表現力、ステップで盛り上げていく。持ち味をいかに出していくかに集中していけばいいだろう。
あとはリズム。失敗が続いているときはジャンプ前に構える時間が長い。そこが課題になってくる。ただ、そこはいろいろな苦しい時期を乗り越えてきたベテラン。実績もあり、戦い方もわかっているだろうし、多くの心配はいらないだろう。
■村上、「元気印」の特長生かすべし
村上佳菜子(中京大)はスピード感があり、思い切りのいい動きが魅力的だ。ジャンプは切れがよく、昨季は世界選手権で4位に入るなど力が付いてきた。年齢的に「少女」から「女性」へと成長していく時期で、「大人の世界」を意識しているようだが、そこはあまり気にしなくていいように思う。彼女のイメージは「元気印」。ほかの日本選手にはない特長をできる限り生かす方がいいだろう。
昨年の全日本選手権で3位と健闘し、今季からシニアデビューするのが宮原知子(大阪・関大高)。一つ一つをきっちりとこなし、非常にまとまりのある選手だ。スピンのコンビネーションは素晴らしいものがある。身長144センチと小柄だが、体全体をつかって、動作のスピードアップをしていけば、体が小さくても大きく見えるようになってくる。試合では実績のある選手との争いになるから、持っているものを思い切り出してぶつかっていくという気持ちで臨めばいい。
今井遥(ムサシノFSC)は安定感に欠けるが、滑りはきれいで、感性もいいものを持っている。精神面の強化がカギになってくるだろう。
■五輪シーズンの重圧、乗り越える必要
GPシリーズは7大会で構成され、6大会を終えて各種目の得点上位6選手・組が12月5日から福岡で始まるGPファイナルに進出する。ソチ五輪の男女シングルの日本代表枠はそれぞれ3。GPファイナルでの日本選手の表彰台最上位やGPシリーズでの得点は、代表選考のポイントになる。
GPシリーズの序盤はコンディションが万全でないうえに、五輪などの「ゴール」はまだ先にある。五輪シーズンでプレッシャーも相当あるだろう。選手たちが難しい戦いをいかに乗り越えていくか注目だ。
(日本スケート連盟名誉レフェリー)
高橋大輔、織田信成、無良崇人、羽生結弦、小塚崇彦、浅田真央、町田樹、村上佳菜子、鈴木明子、宮原知子、今井遥
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズは18日、スケートアメリカ(デトロイト)で開幕する。ソチ五輪の代表選考がかかるうえ、五輪本番へ向けて実績を積み上げていく大切な試合だ。激戦必至の今季GP…続き (10/17)
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