尼崎連続変死:3被告無罪主張へ…大江さん事件
毎日新聞 2013年09月20日 08時00分(最終更新 09月20日 09時28分)
兵庫県尼崎市の連続変死事件で、2011年11月、ドラム缶の中から遺体で見つかった大江和子さん(当時66歳)に対する傷害致死罪などに問われた3被告側が、公判で無罪主張することが19日、法曹関係者への取材で分かった。自殺した角田美代子元被告(同64歳)の影響下で正常な判断力を失っていたと訴える見通し。美代子元被告による「支配」がどう認定されるかが焦点となりそうだ。公判は裁判員裁判で25日から神戸地裁で始まる。判決は10月31日。【椋田佳代】
大江さんの長女香愛(かえ)(45)▽次女裕美(42)▽次女の元夫の川村博之(43)の3被告。起訴状では、美代子元被告と共謀し11年7〜9月、大江さんを市内のマンションに監禁。腹部や顔を蹴るなどして死亡させ、ドラム缶にコンクリート詰めにしたとされる。
関係者によると、川村被告は勤務先の私鉄で美代子元被告からクレームを受けたことを契機に取り込まれた。一家に入り込んだ美代子元被告と共謀し、香愛被告にたばこの火を押しつけたりした傷害罪にも問われ、逆に美代子元被告らから暴行を受けて裕美被告との再婚を強要されていたともいう。
3被告の弁護側は、美代子元被告に家族間で暴力を強いられるなどして正常な判断力を失っていたと主張。違法行為を避けられなかった状況だったと訴える見通しだ。
家族内の「支配」をめぐっては、北九州市の連続監禁殺人事件で7件の殺人罪などに問われた女に11年12月、内夫の虐待による影響で正常な判断力がある程度低下していたと認めて1審の死刑を破棄し、無期懲役とした2審判決が確定したケースがある。
大江さん事件では、美代子元被告のいとこの李正則被告(39)が12年9月、死体遺棄などの罪で懲役2年6月の実刑を受け確定。香愛、裕美両被告は12年2月に死体遺棄罪の初公判が開かれたが、その後、傷害致死罪などで起訴され、公判が止まっていた。
一連の事件は、暴力を受けていた香愛被告がマンションから逃げ出し、美代子元被告と川村被告が逮捕されたことが端緒となり発覚。大江さんが遺体で見つかるなど8人の死亡が確認され、うち5人について殺人や傷害致死罪などで計10人が起訴された。