コンタクトレンズの処方を主に扱い、近隣にコンタクトレンズショップを併設している眼科診療所を、コンタクトレンズ診療所という。通常の眼科一般の診療は、建前上は扱うとしている。
それらの多くは、眼科専門医が眼科一般の診療を行う通常の眼科診療所とは異なり、眼科専門医でない医師が診療所開設者としての名義を貸し、アルバイト医師がコンタクトレンズの処方だけをしていたりする。
眼科専門医がいて、通常の眼科診療も行っているところも、もちろんある。
こういうコンタクトレンズ処方を主に行う眼科診療所をチェーン展開して傘下に持つ、コンタクトレンズ販売業者がいる。全国的に名を知られたところも、各地方にも、たくさんある。
少なくないコンタクトレンズ診療所では、保険診療の網の目をかいくぐって不正の限りを尽くし、それで処分を受けるのは院長という名義を貸した医師だけ。経営母体のコンタクトレンズ販売業者は何の痛みも感じない。
院長が監査を受けて保険医停止処分を受けたら、さっさと医院を閉めて、新しい院長を連れて来て、そのまま看板の文字だけ変えて、開業させる。
それでその院長に不正をさせて、売り上げをかすめ取って、また院長だけ処分されて,を繰り返している。
そういうコンタクトレンズ販売業者の中には、当然、アンダーグラウンドに金を流す奴がいる。大きくチェーン展開をして、何件ものコンタクトレンズ診療所とコンタクトレンズショップを開いていて、その経営者はフロント企業。
今回、厚生労働省は行政処分だけでなく、詐欺罪による刑事告発も武器として手に臨んでいる。警察のバックアップもある。なんせ相手が某勢力の資金源な訳である。
頑張れよ、厚労省。
ところで、薬事法を改正して、コンタクトレンズの医療機器区分と取り扱いを厳しくして、コンタクトレンズ販売業者を閉め出そうとしたのに、実際には良心的な眼科医院がコンタクトレンズの扱いを辞めてしまうだけの結果になった、何とも皮肉な事になってしまったのも、厚労省の失政である。
asahi.com 2007.11.17
診療報酬水増し横行 コンタクトレンズ診療所
2006年11月18日08時35分
コンタクトレンズ(CL)の購入希望者を専門的に検査する眼科診療所(CL診療所)が、診療報酬を水増し請求する例が全国で相次いでいることが、日本眼科医会の内部調査でわかった。4月の診療報酬改定でCL診療の検査料が大幅に引き下げられて以降、急増しており、このままでは水増しの合計額は年間で600億円規模になるとみられる。医会は調査結果を厚生労働省に提出、診療所への指導・監査の強化を要請した。
CL診療所をめぐっては、報酬を過剰請求しているという指摘が以前からあった。今春の改定は「CL診療にかかわる不適切な請求をなくすことも狙いのひとつ」(厚労省)だったが、改定が骨抜きにされた形だ。
全国約6500の眼科診療所のうち、CL診療所は約1300で、大半がCL量販店と患者紹介などの協力関係を結んでいる。
医会は、各都道府県で社会保険などの審査委員を務めている医会の会員を通じ、全国のCL診療所について医師名や診療報酬明細書(レセプト)の内容について継続的に調査を続けてきた。それによると、CL診療所が1カ月に提出するレセプトは平均約1400件で、一般の眼科診療所の約1.5〜十数倍。大半の診療所が約8割を初診患者として扱い、1診療所あたりの月間保険請求額は約870万円に上っていた。
4月の改定では、さまざまな検査料について出来高方式で加算していた保険点数を一本化した上、CL患者の割合が70%以上を占める眼科診療所の点数が大幅に引き下げられた。大半のCL診療所が引き下げの対象になるため、一つの診療所あたりの請求額が月間約250万円の請求に減るとみられていた。
しかし、全国の審査委員からは「改定後も、CL診療所は以前と同レベルの件数や金額で保険請求を続けている」という報告が相次いでおり、今回の集計で、1300のうち約1000カ所の診療所で、水増し請求が行われている可能性が高いことが判明したという。
水増しは、CLの利用者を未経験者に偽装するほか、全患者数に占めるCL患者の割合を70%未満にしたり、CL検査以外の目の病気を治療して一般の眼科患者を装ったりしている。この結果、改定前と同程度の保険点数を請求している例が大半という。医会の関係者によると、水増し額は1カ月あたり約50億円で年600億円にのぼる可能性が高いという。実際、九州地方のある県で、社会保険事務局が調べたところ、大半の診療所で不正が認められたという。
不正請求が明らかになった場合、診療所は保険支払機関から返還を求められたり、医師の保険医登録が取り消されたりすることもある。
日本眼科医会の吉田博副会長は「大半のCL診療所で水増し請求が行われている可能性が極めて高い。量販店系列の複数の診療所で同じ手口が使われるなど組織的と思われる例もある。診療報酬の改定の効果を上げるためにも、行政による一斉立ち入りなど積極的な指導・監査が不可欠だ」と話している。
◇
〈コンタクトレンズの診療報酬〉
日本眼科医会によると国内の眼科の総医療費は約1兆円で、このうちCL診療所の医療費が約1400億円を占めていた。ただ、1人の患者に何度も初診料を算定している例などもあった。このため保険給付範囲を明確にしてCLの医療費を約1000億円削減することを目的に、診療報酬改定で、従来は精密眼底検査など個別検査の保険点数を加算していたのを、一括した点数に統一した。CL診療所のように患者全体に占めるCL利用者の割合が70%以上の場合、70%未満の一般眼科に比べて保険点数が約半分に減った。またCL利用者に対する定期検査は保険給付の対象外▽初診料は1人につき最初の1回などとなった。
YOMIURI ONLINE 2007.12.5
コンタクトレンズ診療所、医師の名義貸し横行
コンタクトレンズ購入者の目の検査などをする眼科診療所(コンタクトレンズ診療所)で、勤務実態のない医師が管理医師として名前を貸して報酬を得る「名義貸し」が頻繁に行われている疑いが強まり、厚生労働省は実態調査を行うことを決めた。
診療所の管理医師は常勤が原則で、勤務実態がないと医療法などに抵触する可能性がある。
コンタクトレンズ診療所をめぐっては、診療報酬の不正請求が相次いでいるとして、同省が全国約100か所の監査・指導を進めており、名義貸し問題もその中で調べ、実態を解明する方針だ。
コンタクトレンズ診療所の大半は、販売店に隣接して作られ、全国に約1300ある。
医療法や同省の通知などによると、診療所には常勤の管理医師を置くのが原則で、同じ人が二つの施設の管理医師を兼務することも原則としてできない。このため、他の医療機関で働く医師が管理医師を兼ねるのは難しいのが現実だ。
仲介業者に医師の募集を委託しているコンタクトレンズ診療所も少なくないと言われる。医療専門誌の募集広告には、「管理医師 経験不問 在住地問わず 登録のみ」と、名義貸しの医師を募るとも取れる内容を堂々と掲載しているケースもある。
最近まで東京都内のコンタクトレンズ診療所に名義を貸していた神奈川県内の総合病院の勤務医(男性)は読売新聞の取材に「後ろめたい。長く続けてはいけないと思っていたが、金にひかれてしまった」と重い口を開いた。半年以上も前、管理医師となったが、診療所に行ったのは2回だけ。それでも毎月20万円が管理料として振り込まれてくる。
名義貸しをしていた先輩医師から「いい副業がある」と紹介されて始めた。精神科が専門で眼科の診療経験はなかった。「目の治療が必要な人がきたらどうしよう」と不安になったが、「管理料をもらうだけで、診察はしないから大丈夫」と言われたという。
管理医師になった直後、たまたま診療所に行った時、「点眼薬をほしい」という患者がきた。「目薬のことはわからなくて、急いでほかの診療所へ行ってくださいと答えた」と振り返る。
自分の代わりのアルバイト医師の派遣も、先輩医師から紹介された人に任せた。診療所で誰が働いているかも知らない。医師以外の人が処方せんを書くと医師法違反になるだけに、「今思うと怖い。事故が起きたら責任があるし、早く辞めたいと思った」と話す。
別の埼玉県の診療所で管理医師を務める都内の外科の勤務医(男性)も、最近は月1回しか行かない。普段診療所に勤務している医師のことを知らないといい、「それは管理医師としてまずいことだとは思う」と認める。
コンタクトレンズ診療所を巡っては、必要のない検査を行うなどの不正があったことから、昨年4月、レンズの処方に関する診療報酬が大幅に切り下げられた。
しかし、昨年末に、「水増し請求などの不正を行っている診療所が多数」と日本眼科医会が調査結果を公表。厚労省が今春、指導を行った。だが、改善がみられない診療所が多数あるとして、今月から指導、監査に乗り出した。
日本眼科医会の吉田博副会長は「名義貸しの話はかなり聞いている。無資格者が検査をし、たまにしか来ない医師の名前を使って処方せんを書いているところもあるようだ。コンタクトレンズによる目の障害も起きかねないだけに、医師としてのモラルも問題だ。厚労省は厳しく対応してほしい」と話している。
(2007年12月5日14時31分 読売新聞)
毎日 jp 2007.12.4
コンタクトレンズ:厚労省が診療所を指導・監査へ
コンタクトレンズの購入希望者を専門的に検査する眼科診療所で診療報酬の不正請求が相次いでいるとして、厚生労働省と各地の社会保険事務局は悪質な診療所の指導・監査に乗り出した。昨年度からコンタクトレンズ診療所の診療報酬が大幅に引き下げられたにもかかわらず、請求額が減っていない状況を受けた措置で、対象は100カ所以上になるとみられる。
コンタクトレンズ診療所は全国に約1200施設あり、大半は販売店と提携して患者の紹介を受けている。必要のない検査や何度も初診料を請求するケースが多く、厚労省は昨年4月の診療報酬改定で出来高加算だった検査の保険点数を包括化し、コンタクト使用者が外来患者の70%を超える場合は点数を一般眼科の半分にした。
しかし、日本眼科医会の調査によると、コンタクトレンズ診療所からの保険請求は05年度から06年度にかけ約400億円しか減らず、約1000億円の圧縮を見込んだ厚労省の試算と大きな隔たりがあった。収入を維持するため、割高な検査料を不正請求したり、コンタクトレンズの購入者を別の病気のようにカルテに記載し、コンタクトの処方を70%以下に装う診療所が多いという。
監査で不正が発覚した場合、診療報酬の水増し分の返還や、保険医療機関取り消しの処分がある。処分逃れのための廃院や返還拒否が分かれば、刑事告発が検討される。
コンタクトレンズ診療所を巡っては、実際は勤務していない医師による管理者の名義貸しも問題になっており、日本眼科医会などは実質的に診療所を経営する販売店の取り締まりも求めている。【清水健二】
毎日新聞 2007年12月3日 19時19分
こういう論説を見ることができる。
勤務医 開業つれづれ日記
■悪いやつほどよく眠る 「コンタクトレンズ診療所、医師の名義貸し横行」のコメント欄より。
もともと、2年前の削減時に、眼科の削減分はコンタクトを差し出した格好で決着をつけたと思います。
眼科医会は長年の敵対相手であるコンタクト業者に打撃を与えるべく、自分たちにも影響出るのを覚悟の上でコンタクト診療は定額の上、半額なんてむちゃな要求をのんだわけです。
施行後には、少しだけコンタクト販売所が減ったものの、ほとんどは非合法すれすれの院長ローテートや不正請求で生き残りました。
それを叩くべく、今年の11月まで個別指導して少しだけ締め上げましたが、コンタクト販売所はびびる所か院長使い捨て戦法にまで出てきて効果は上がっていません。
さて、今は診療報酬改定真っ只中ですが、今回の騒動は、眼科の更なる引き下げ要求に対して眼科医会側から引き下げ要求の前にまずは効果の上がっていないコンタクト診療所をなんとかしろ言われて、厚生省が「実態調査」なんて温いことし出したのだと思ってます。
眼科医会側は引き下げ要求の引き伸ばし、厚生省は働いている所をデモできるので両者思惑一致しての実態調査でしょうが、こんな事してもコンタクト販売所は痛くも痒くもないでしょうね。さらなる戦法はコンタクトを保険診療から外す事ですが、これは2年前の改正時に限定的に施行したところ、患者からのクレームが厚生省に上がって3カ月で方針転換した経緯がありますので難しいでしょう。
コンタクト販売所との戦いはまだまだ続きそうですが、医療の分野に小規模資本主義が入るとどうなるか、良い見本だと思います
また、こういう論説もある。某所より入手した、2006 年中頃に書かれた、眼科専門医の手によるものである。
コンタクトレンズ以下 ( CL ) にまつわる諸問題について、眼科以外の先生方にはあまり知られていない ( であろう )、ここ何年かの制度の変遷をご紹介する。思い出す度に憤懣やる方なく、若干の私見も含まれることをお許し願いたい。
CL 安売り店に併設する、いわゆる「CL 診療所」が○○県で始めて開設されたのが平成の初めの頃である。○○でコンタクトレンズ量販店に隣接して、卒後研修 1 年目の内科医師が眼科診療所を開設し、新聞ネタにもなったことを記憶にとどめておられる先生もおられるかもしれない。この時の顛末は、市民の目の健康を守る立場で異を唱えた○○眼科医会が、逆に公正取引委員会より勧告を受けたことにより終結した。それを機に ( お墨付きということではないであろうが ) 今は○○近辺に数え切れないほどの CL 診療所が乱立している。
○○○ ( 某地方都市名 ) も例外ではなく、ここ 2 年の間に JR ○○駅北側、○○駅南側に相次いで CL 診療所が開設された ( もちろん医師会には非入会 )。この手の診療所は「地域医療」とは当然のごとく全く無縁で、利益を得る為に保険制度を利用して医療費をむさぼり食う、という構図で成り立っている。CL の仕入れの量が圧倒的に多いために、仕入れ値も安くなる。さらに、その仕入れ値以下という一般眼科医院では考えられないような破格の値段で売りさばいても、1 カ月に 1400 件 ( 全国平均 ) は下らないと言われている診療報酬で充分儲けが出るのである。なぜならば、そのレセプト内容がスゴイのである。初診率が 80% 以上もあり、画一的な検査がずらりと行われている。一部では、CL を買いに来る患者さんの年齢層を考えると、到底考えにくいような「緑内障」等のための高点数の検査を行うために、それに見合った ( 架空の ) 病名をつけている所もあると聞く。ひとつひとつのレセプトとしては、何ら問題はないかもしれないが、これが大量に出てくると、指導・監査の対象になってもおかしくない。しかし、そういう診療所に監査が入ったとか、保険医取消しになった ( 閉院した )、という話は一向に聞かない。
全国では、眼科標梼の診療所 6475 施設中、いわゆる CL 診療所と判断されている所が 1337 施設を数える。CL 診療所から請求される医療費は 1400 億円に上ると ( 別資料によると 2000 億円とも ) 言われている。柔整に関してもそうであるが、「医療費が増大している」と叫ばれる中、「正当に使われていない医療費」等についても並列に言及したマスコミは全くない。そして医療費抑制政策で、いつも割を食うのは国民と「真面目な」医師なのである。日本眼科医会は CL 診療所対策を国に訴え続けた。しかし厚労省は聞く耳を持たなかった。国民が CL を購入する場合、自己責任を強調することで国の責任を転嫁していたのである。それでも CL 健康被害は絶えず報告され続け、無駄な医療費も増大し続けていった。
そこで、ようやく厚労省が出した答えは、とんでもない見当違いの施策であった。それが昨年 4 月からの改正薬事法「高度管理医療機器等販売に係る申請」であった。「CL 販売時の品質管理を厳重にする」ために、診療所と CL 販売・管理部分は公道を挟んで別棟にしなければならない、等という内容であった。もともと「原則として診療所と CL 部門は入口を別にする」という非現実的な法律が存在していた。しかし、その法律に準拠して開設しているのは、いわゆる CL 診療所の方であり、ほとんどがそのような無駄な法律に添った形体にはしていなかった一般眼科医院は、無用のコストと労力を強いられたのである。この件で、診療所の改築が不可能と判断し、CL の取扱いを諦めた眼科医もあり ( 閉院された所もあった )、そこの患者さんが仕方なく CL 診療所へ流れてしまい、ますます健康被害を増大させてしまう、という全く逆の結果を招いてしまった。実際の医療現場を少しでも把握していれば、こういった事態は簡単に予測できたはずである。そういった意味でも、頭の良い人が集まっているであろう厚労省が何もかも充分承知の上で、一般眼科医に対する嫌がらせでやったとしか思えないような改正であった。
そして、声高に医療費削減が叫ばれる中、国民の健康という観点からではなく、財政面からせっつかれた厚労省が、ようやく CL 診療所対策に本腰を入れてきたと思われたのが、今年の 4 月からの保険改正である。申請 6 ケ月前の外来件数の内、CL 関連の診療件数の割合を社会保険事務局に届け、その割合によって、包括化される CL 診療にかかわる検査点数が変わる、というものである。その割合が 70% 以上 ( 一般眼科医院は 7 ∼ 10% 程度)になるであろう、いわゆる CL 診療所は、この 4 月から初診・再診ともに、かなり圧縮された点数しか請求できなくなった ( はずである )。
果たして、CL 診療所は経営を諦め、次々に撤退しているのであろうか。今の所、そういった話は聞いていない。しかも、今回の改正に伴って様々な保険の縛りや解釈の情報が錯綜したため、一般眼科医院の現場の方に混乱をもたらしている。真面目に考えると、どこまでが CL 診療で、どこから一般診療なのか非常に判断しづらいのである。これも少し考えてみると予想されたことであるが、もともと医の倫理を持ち合わせていない者 ( CL 診療所 ) が正直に今回の改正に従うわけもなく、包括化を避ける目的で屈折病名以外の病名を追加すれば、不必要な検査や投薬がこれまでと同様に行える(と考えられる)ので、全く抑止力にならず、医療費削減も期待できないのではないだろうか。社会保険事務局を疑うわけではないが、そもそも CL 診療件数の割合届出の受理も正当に判断されたかどうかも、我々には確認できないのである。
もうしばらくは静観、ということになりそうであるが、まだまだ我々下々の者には計り知れぬ世界があるのかもしれない。
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