原発事故 海外はどう捉える10月11日 5時23分
原発事故のあと福島の人たちがどう暮らしているかなどをテーマに、フランス在住の日本人の監督が去年、製作したドキュメンタリー映画が10日夜、東京で上映され、訪れた人たちなどが原発事故は海外からどう捉えられているかなどについて議論を交わしました。
映画「フクシマ後の世界」
この映画は、15年余り前からパリで暮らす渡辺謙一監督が去年、「フクシマ後の世界」と題して製作した1時間17分のドキュメンタリーです。
東京電力福島第一原子力発電所の事故のあとの福島の人たちの暮らしや、原子力との関わり方などをテーマに、現地の映像やそこで暮らす人たちの話、それに、菅元総理大臣や音楽家の坂本龍一さんらのインタビューなども交えて構成されています。
住み慣れた家を離れ仮設住宅での生活を余儀なくされた人の苦しみやふるさとへの思い、取った魚を出荷できず海に返さざるをえない漁業者のむなしさ、それに、子どもに放射線の検査を受けさせる親の不安など、放射性物質という見えないものと闘い続けなければならない現状や、被爆国の日本が原子力の平和利用として原発を使い続けてきたことなどを問いかけています。
フランスとドイツではことし3月中旬、テレビで放送されましたが、日本では今回初めて上映されました。
「事故への視線は国内外で落差大きい」
上映会は10日夜、東京・目黒区の東京大学教養学部の会場で開かれ、大学の関係者や一般の人たちなど50人余りが集まり、渡辺監督も訪れました。
そして、映画の上映のあと、集まった人たちが映画の感想や原発事故は海外からどう捉えられているかなどについて意見を述べました。
中には「日本より海外のほうが原発事故後の福島について深刻に受け止めているのではないか」といった意見や「事故直後の水素爆発をはじめ最近の汚染水の問題などを見ても、正確な情報が出ていないと思う。分からないことだらけなのに、ほかの原発の再稼働が議論されているのはおかしい」といった意見も述べられました。
これに対し、渡辺監督は「原発事故について、海外からの視線と国内の視線は、あまりに落差がありすぎる。海外から見ると、肝心要の福島第一原発で今、何が起きているかを知りたいという欲求が強い。海外から福島への視線に興味を持ってほしいと思う。福島を扱った国内外の映像著作物を集めて、福島で“国際映画祭”のようなものを開きたい」などと述べていました。
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