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日本海溝プレート境界 震災時滑りやすかった?京大など推定

 東日本大震災の本震で50メートル以上ずれ、巨大津波を生み出した日本海溝付近のプレート(岩板)境界は摩擦抵抗が非常に小さく、地震時にプレート同士が滑りやすい状態になっていた可能性があることを京大などの国際研究チームが8日、横浜市で開催中の日本地震学会秋季大会で発表した。世界で初めて、海溝型地震発生直後のプレート境界断層の温度計測を行い、摩擦熱のデータから推定した。

 プレート境界の深い部分で始まった本震震源の滑りが、ほとんど抵抗なく海溝付近の浅い部分まで拡大した本震の断層の動きが説明できるという。
 温度計は昨年7月、宮城県沖約220キロの地点に設置。水深約6900メートルの海底に854メートルの縦穴を掘り、海洋プレートが陸側プレートに沈み込むプレート境界断層付近に温度計を挿入した。
 4月に回収した温度計を分析した結果、海底下約815メートル前後の場所で、通常よりも0.2〜0.3度高い温度異常を確認した。本震時に高速でずれることで摩擦熱を出したプレート境界断層と考えられ、その値から発生した熱量を逆算。プレートがずれ動いた際に掛かった力や摩擦抵抗を割り出した。
 グループは、プレート境界断層で採取された物質には、崩れやすいスメクタイトという粘土鉱物が多く含まれていたことも突き止めた。摩擦抵抗がもともと小さい上に、水があれば摩擦熱で水が膨張し、断層面がさらに滑りやすくなるとの研究結果も報告した。
 チームの加納靖之京大防災研究所助教(地震学)は「深海掘削による温度計測自体が、技術的な困難を乗り越えた成果だ。得られた貴重なデータを今後より詳細に分析し、メカニズム解明につなげたい」と話した。


2013年10月09日水曜日

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