|
就任記者会見で記者の質問に、笑みを浮かべて答える落合GM=名古屋市中区のクラブ東海で(池田まみ撮影) |
就任会見
中日のゼネラルマネジャー(GM)に就任した落合博満元監督(59)が11日、名古屋市中区の球団事務所を訪れて記者会見。谷繁元信新監督(42)を支え、今季の4位から来年のV奪回を宣言すると、いきなり球団首脳との約7時間に及ぶ会談。さらには「ぬるま湯の中ではやらせない」と鋭い眼光で選手を見極めることを明かした。
まず現有戦力見極め
GMになってもオレ流はオレ流だった。補強の前にやるべきことは現有戦力の見極め。約7時間に及ぶ球団首脳とのロング会談を終えた落合新GMが練習の視察を予告。V奪回への第一歩は選手たちの意識改革だった。
「どの選手が使えてどの選手が使えないのか。これから秋の練習が始まるわけでしょ。ここで彼らが何を見せてくれるか。それによっては戦力外通告しなければならない選手も出てくる。逆に一本筋が通ってシャキッとするんじゃないの。それに期待するしかない。ぬるま湯の中ではやらせないよ。オレの名前が出た時点で選手は分かりきっていることだと思う」
落合政権を知る選手からすれば背筋が凍るような、懐かしいような…。思えば前政権発足時の03年オフは「10%の底上げをすれば優勝できる」と豪語して公約を達成したが、レベルアップさせる方法の一つが選手に危機感を抱かせることだった。今後トレードやドラフトで補強するのも大切だが、まずは現在の選手の目の色を変えさせる。今回は監督ではなくGM。いつでも戦力外にできる立場だから選手にとっては戦々恐々だ。
1年目から優勝する
この日は昼すぎに球団事務所を訪れると、午後2時からGM就任の記者会見。「谷繁新監督をバックアップしたい」と話し、1年目のチームづくりを聞かれると、キッパリと言い切った。
「優勝するチームをつくらないとやる意味がない。勝負事ってそういうこと。(1年目からと聞かれ)それをしなかったら、野球選手が野球をやっちゃいけない」。会見を終えると午後8時まで佐々木新球団社長や西山新球団代表ら球団首脳とコーチ人事や補強ポイントなどを話し合った。トイレ休憩は実に4度。自身の契約については持ち越しとなったが、白熱した初日だった。
「オレは黒子に徹するだけ。オレが表に出るとやりづらいでしょ。それがこのチームを浮上させる1番のポイント。監督の思うように、すべてが同じ方向を向いて出発しないとこの船は沈没する。(今年は)沈没しちゃったんだから。それを立て直すには倍の力じゃない、3倍の力がいる。みんな温かい目で見守ってくださいな。最後のご奉公だと思ってやるよ」
宮崎組を除く全員が集まる15日にはナゴヤ球場を訪れて谷繁新監督と会談するが、ひっそりと見守るという。ただし、目は光らせる。新監督のためなら悪役も買って出る。それが落合新GMのおぼろげながら見えてきたスタイルだった。 (兼田康次)
細部詰めて契約 佐々木球団社長
佐々木球団社長はじっくりと細部を詰めてから、落合GMとの正式契約を結ぶ考えを示した。この日は契約しなかったことを明かし、「拙速はマズいと思いますので。初めての制度ですから」と説明した。今後、契約年数などを話し合っていくものとみられる。7時間にも及んだ話し合いについては、「初めてお話しさせてもらう仲ですから、一通り今後のおさらいをした程度。業界を知り尽くした素晴らしい方。過去の経験を話していただいて、勉強になりました」と話した。
落合GMの仕事は戦力面整備に限定 西山球団代表
西山球団代表は球団初となるGM職について、「運営だとか、営業だとかは落合さんの仕事ではない」と説明した。「役割は戦力面の整備か」との問いには「そういうこと。チームの強い弱いはお客さん(集客)とある程度、連動している」と話した。また佐々木球団社長との関係は「社長の下です。文章(契約書)のなかでそれははっきりさせる」とした。
スカウト会議 結果を尊重へ ドラフト戦略
今年のドラフト戦略は、10日のスカウト会議の結果が尊重されることになりそうだ。この日落合GM、佐々木球団社長、西山球団代表の話し合いに中田スカウト部長が呼ばれ、状況を20分間程度説明したが、「任せるということだった」(中田スカウト部長)。中日の1位指名は桐光学園高の左腕、松井が濃厚となっている。
ドラフト会議前日の23日に再び話し合い、最終決定する。