創 10月17日(木)17時0分配信
話し合いは第1回が昨年5月25日、第2回は8月8日だが、その間の6月20日には、出版社側による当該被差別部落のフィールドワークが行われている。そして10月10日の第3回話し合い、11月20日の第4回話し合いを経て、双方が基本的に合意。12月17日には「『大江戸古地図散歩』『大江戸今昔マップ』の刊行の経緯と今後の取り組みについて」という最終見解文が提出された。
部落解放同盟側でこの問題に取り組んだのは東京都連合会だが、部落解放運動全体に関わるテーマだとして中央本部も関わるようになった。第4回の話し合いに出席したのは、出版社側は社長を含む3名、解放同盟からは和田献一中央執行委員、長谷川三郎・都連委員長ら6名だった。
出版社側から示された最終見解とは4点から成る。近藤登志一・都連書記長がまとめたポイントが機関紙に掲載されているので引用しよう。ちなみにこの文章の標題は「大江戸今昔マップ差別助長事件と『古地図問題』」だ。
以下、部落解放同盟側が要約した出版社の見解4点である。
《1.古地図と現代地図の「重ね地図」化による「被差別部落の特定」について、「安易に現代地図上に『穢多村』が特定できることで、出版の意図とは別に、今日的な差別につながる身元調査、土地調査に利用されるおそれがあるなど、結果として差別を助長することに結びつき、当該地域に居住する方々が精神的な苦痛をお感じになるであろうことは、容易に想像できます。」「『穢多村』『非人』地域が現在どの地点・地域なのかが明確にならないような工夫・配慮をするべきでした。」
2.差別の助長にいたった社としての原因については、「責任者による編集現場への注意喚起や監督が十分になされておらず、編集内容へのチェック体制も不十分であった」。そして「責任者に至るまで人権意識が不足していたことを率直に認めざるを得ません。」
3.「本部見解」を全面的に支持するとし、「文字の塗りつぶし」という編集処理は、差別のない社会を目指すうえでは必ずしも最善策ではなく、部落差別の現実を直視し、悪意・興味本位の誤用・悪用による差別を助長しないようにするための、いわば今日的な次善の策であるとした上で、「こうした編集上の配慮をせざるを得ない、部落差別をめぐる今日的な社会状況についての当社としての見解を掲載する方向で検討していく。」
4.人権教育を社員教育の一環に組み入れ、またコンプライアンス委員会等の会議等で人権問題に対する不断の情報収集、啓発に努める、更に、人権問題担当者の設置など社員教育の充実に向けた体制作りを検討していくなど再発防止に向けた組織体制を検討していく。》
最終更新:10月17日(木)17時5分
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