ベラルーシに敗れ、うなだれる本田(左端)。右端は酒井高=ジョジナで(共同)
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◇国際親善試合 ベラルーシ1−0日本
【ジョジナ(ベラルーシ)松岡祐司】サッカーの日本代表は15日、当地で行われた国際親善試合でベラルーシ代表に0−1で敗れた。セルビア戦(11日)に続き、来年のワールドカップ(W杯)本大会出場を逃した相手に、日本は2連敗を喫した。ベストメンバーで臨みながら、2試合連続で無得点に終わった今回の欧州遠征。8カ月後のW杯本番へ停滞ムードは否めないが、FW本田圭佑(CSKAモスクワ)は危機感を抱きながらも「悲観していない。ここでブレることが一番ダメ」と前を向いた。
がっくりと腰を折り、両手を膝についた。動けない。ニッポンの絶対軸が屈服のポーズ。負けることはある。だが心の芯まで打ち砕かれたかのように、本田の両眼にいつもの力感はなかった。
1時間後、最後に控室を出てきた本田はスタジアム通路でザッケローニ監督と意見交換した。時間にして約10分間。身ぶりを交えて語る真剣な表情はいつもの“熱”を取り戻していた。
「W杯用にさらに大きなものを披露しようと、今は組み立てている段階。新たなトライをしていることで、前と同じようにすれば得点もできたかもしれないけど、うまくいかない。新しくトライしていることによって前のよさが出ていない。チグハグさはあるけど、選手、監督を中心にそこは悲観はしていない」
前半4分、11分と絶好のパスから好機をつくった。後半27分には相手DF3人に囲まれながら右足でゴールを急襲した。だが、パスミスやトラップミス、動きにキレはなく、強引なキープからボールを失うケースが増えた。悔しくないはずはないが「ここでたたかれてブレるようなことがあれば、それが一番ダメ」。本田にははっきりと光が見えている。
「新たなトライ」とは、セルビア戦の前半30分の場面のように複数の選手で縦、横の動きを絡めた連係、連動した短い高速パスによる攻撃だろう。サイドで数的優位をつくって崩し、クロスから仕留める−。アジアを制した武器がコンフェデ杯では通用しなかった。だから、本田は「(一昨年の)アジア杯で優勝したようなサッカーをW杯でするつもりはない」という。世界仕様への途上、生みの苦しみというわけだ。
さらに、サッカー観をぶつけ合うような連日のミーティング、議論は熱を帯びているという。
「前回のW杯はそれを(本大会直前5月の)スイスのキャンプで行ったんで、そこは少し進歩している。危機感は既にあのW杯と似たような感じで、『このままやと負けるよ』というのは今の段階で選手全員が抱いて話し合いをやっている」
スタイルを研ぎ澄ませる、変革の時。本田の言葉を信じれば、東欧での「どん底」がW杯への糧になる。そうであれば、払った授業料も高くはない。
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