顧客の依頼を受けて紙の本を電子書籍化する「自炊代行」サービスで著作権を侵害されたとして、作家の浅田次郎さんら7人が、東京都内の代行業者2社に、自分達の作品の複製差し止めなどを求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。大須賀滋裁判長は業者側に複製差し止めと計140万円の賠償を命じた。
著作権法は個人で利用するための複製を「私的複製」として認めており、複製の主体が業者か顧客かが争われた。自炊代行が私的複製にあたるかどうかの司法判断は初めて。
訴えられていたのは、東京都港区の「サンドリーム」と葛飾区の「ドライバレッジジャパン」。判決によると2社は顧客から送付された書籍を裁断、スキャナーで電子ファイル化し、ダウンロードやDVDなどの形式で納品していた。
大須賀裁判長は「電子ファイル化という、複製における中心的な行為を行っているのは業者」と指摘。「補助的な立場で電子化しているにすぎない」とする業者側の主張を退けた。
2社は「原告らの作品のスキャンには対応していない」と主張したが、大須賀裁判長は依頼に応じて納品していたと認定、「原告らの著作権を侵害するおそれがある」と判断した。
浅田さんらが別の4業者を訴えた訴訟も、東京地裁に係属している。
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