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「いつかはゆかし」の化けの皮

竹中平蔵や岩田規久男を広告塔に「月5万円で1億円貯める!」と大宣伝。大丈夫か?

2013年4月号 BUSINESS

ターゲットは「30代」!

「海外投資新聞」に載った竹中平蔵氏と高岡壮一郎社長

「いつかはゆかし」――。そんな一風変わった金融サービスの名を最近目にしたことのある人は多いだろう。キャッチフレーズは「1億円は貯められる。月5万円の積立で。」。昨年暮れから人気俳優を使ったテレビCMや電車内広告などを大々的に展開。同時期に始めた「海外投資新聞」なる自社サイトには竹中平蔵・元総務相や、日銀副総裁候補ともなった岩田規久男・学習院大学教授、嘉悦大学の高橋洋一教授ら錚々たる顔ぶれが登場する。が、肝心の運用会社となると、ほとんどの人は首を傾げるはず。「アブラハム・プライベートバンク」(ABP)とは、そもそも何者なのか?

ABPとその親会社である「アブラハム・グループ・ホールディングス」(ABH)の創業者である高岡壮一郎社長は1974年生まれ。東京大学卒業後、三井物産に勤務した。ナンバー2の池田慈生取締役はアクセンチュアの出身。特別顧問には三井物産・元副社長の島田精一氏も名を連ねる。これらだけ見れば、有望なベンチャーだ。が、実像はかなり異なる。

無法地帯の海外積立業界

主に30代が顧客層の「いつかはゆかし」だが、サイトを見ても投資の具体的事柄は何も出ていない。顧客は1万9800円のDVDを買って会員にならなければ、投資対象など詳細な説明を受けることができないのだ。金融商品取引法上、ABPは投資助言業の登録しか行っていない。そのため販売行為ができず、まどろっこしい仕組みになっている。ABPは顧客に合った金融商品を推奨、毎年、助言手数料として契約残高の0.945%を徴収するという。

ただし関係者に話を聞くと、違う構図が見えてくる。実は、「いつかはゆかし」の会員は特定の金融商品に誘導されるというのだ。英領マン島の金融会社ハンサードの積立投資プログラム「アスパイア」がそれである。同社はロンドン証券取引所に上場する会社だが、各国に「IFA」と呼ぶ代理店を置く中、収益の約4割を本国から遠く離れた極東地域で稼ぐ。中でも日本が金城湯池とみられる。

ハンサードと似た積立商品として「フレンズプロビデント」などがあるが、それらの特徴は日本国内に運用会社の拠点がなく、もっぱら香港のIFAと提携したもぐりの業者によって販売されている点だ。例えば昨年12月、大阪市内の「企業設計」なる会社が近畿財務局から業務停止処分を受けた。同社は投資助言業の登録しか持たないのにフレンズプロビデントの積立商品を販売。しかもそのやり口はマルチ商法そのもの。ダミー会社をつくってIFAからヤミ手数料を受け取り、その中から顧客を連れてきた紹介者に一部を再分配していたのである。

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