2013年10月17日

暗き試合も、いとをかし

 残念な試合だった。

 何か最初から雰囲気が暗い。セルビア戦でもっとやれるつもりだったのが、鼻っ柱を折られた事が相当ショックだったのかもしれない。開始早々香川が切り返しから放ったミドルシュートは、香川らしからず明らかに力が入り過ぎていた。柿谷が抜け出してGKにブロックされたシュート、チーム全体の重苦しい雰囲気に足を引っ張られ、柿谷独特の冷静さが見られなかった。失点は、左右からクロスを連発されズルズルと後退してしまいミドルシュートを食らったものだが、チーム全体が弱気になっている典型的場面だった。
 ベラルーシは前線から組織的なプレスをかけてきたため、攻めあぐむのは仕方がない。だったら丁寧にボールを回して、いかに敵に隙を作るかを考えなければならないのに、遠藤爺以外のほとんどの選手が無理に攻めかけようとしていた。さらに、強引に中盤でボールを奪おうとするが、必ずしも体調のよくない選手が多いから、結果的に体格のよい敵の出足に負けて後手を踏んでいた。よほど選手たちには焦りがあったのだろう。一方で、こう言う試合を見せられると、ザッケローニ氏が遠藤爺を外したがらないのも、何となく理解できてくる。

 しかも、セルビア戦でもそうだったが、岡崎、本田、香川の3枚看板の体調が悪いのは、見ていて明らか。この3人が冴えなければ、苦戦は免れない。それでも、岡崎は悪いなりに、動き出しを工夫し、幾度も好機を導いていた。本田も悪いなりに、最前線で身体を張って、相応に敵に脅威を与えていた。けれども、香川は完全に調子を崩していて、独特の鋭い加減速がまったく見られない。香川も必死に動いてボールを引き出そうとするのだが、切れが悪くベラルーシ守備陣に手玉に取られてしまった。こんなひどい香川は南アフリカ大会前に遡らなければならないかもしれない程だった。
 後半、森重を投入し、評判悪い3ー4ー3に切り替え。両サイドDFの今野、森重が、持ち上げれるし、パスもよかったので、珍しく3ー4ー3が結構機能しかけた。さらに、中盤に起用された螢が、運動量と厳しい当たりに加え、事前の適切なルックアップも冴え、よいプレイを見せる。ところが、ボールが香川に渡る度に、攻撃が停滞してしまう。ここで、香川を交代すれば、状況は好転した可能性が高かったのだが。セルビア戦でペースを引き戻すのに貢献した清武、交代出場で機能する事に定評ある齋藤、いずれでもよかった。いや、幾度か述べたが、交代で機能するか確認をしておきたい乾の起用も一案だった。
 好意的に解釈すれば、来年6月の好成績の確率を高めるために、自クラブで出場機会をなくしている香川(と麻也)の出場機会確保を、この2試合の勝利より優先したと言う事なのかもしれないな。

 腹は立ったが、よい準備試合だった事は間違いない。
 我々は、日本代表に、常に目が覚めるような勝利を求めている。それが、1つリズムを崩すと、欧州予選で苦杯を喫し、新たなチーム作りを始めている国に連敗すると言う事実を見せつけられた。来年6月に向けて、これはこれでよい経験ではないか。
 4年前は本大会出場権獲得後、直前の韓国、イングランド、コートジボワールの3連戦前は、敵地でのオランダ、南アフリカとの2試合しか、真っ当な準備試合が組めなかった。今回はコンフェデ杯を含め、ウルグアイ戦を含め今回の2試合。そして、来月、オランダと(たぶん)ベルギーと、欧州でやれる。出場権獲得後、年内に8試合だ。たとえ、内容や結果がどうでも、準備と言う視点からは、本当にありがたい事だ。
 また、螢と森重が短い時間ながら、すばらしいプレイを見せてくれたと言う収穫もあった。セルビア戦で、最後のアチャーを除くと細貝も上々だった。この3人の充実は、最大の課題である守備の強化に直接つながる。3人は、自クラブでも中心選手。日々のプレイがブラジルにつながる。
 もっとも、酒井高徳が冴えなかったのは、香川の不振以上に心配だ。香川は相当の経験も積んでいるし、このままの冷遇が続いても実績があるから、獲得する大クラブもいくらでもあり、来年6月には上がってくるはずだ。しかし、高徳がこのパフォーマンスを続けると、貴重な両サイドバックをこなせるタレントが戦力外になってしまう。奮起を期待したい。まあ、使われて不振が発覚するのがよいのか、使われぬまま機能するのかしないのかわからん方がよいのか、と言う議論があるけれど。

 もちろん、ザッケローニ氏の采配に疑問は多い。
 チームが重苦しい時は、リフレッシュの意味を含め、新たな選手を起用するのは一手段だが、まあ強情なオッサンですなあ。実際、過去の代表監督を思い起こしても、フィリップを除いては、皆基本的には固定メンバを好んでいた。ジーコや岡田氏のみではないよ、オシム爺さんのアジアカップの焦燥感など、中々だったではないか。
 ただ、この2試合で乾の交代起用の効果は見ておくべきだったとは思う。乾は自クラブでは、攻撃の要と言う位置づけだから、代表でないと特殊なトライは難しいのだが。
 また、終盤にハーフナーを起用した理由もよくわからない。あの屈強な守備ラインに対し、ハーフナーの空中戦で活路が見出せると考えたのだろうか。終盤、麻也も前線に上がり、ハーフナーと2スピアヘッドを組んだが、今野らが上げたファーサイドへのクロスを、ベラルーシ守備陣は苦労する事なくはね返していた。
 コーチングスタッフが、ザッケローニ氏が連れて来たイタリア人が多く、チーム全体がネガティブになった際の切り替えが円滑でないのかもしれない。3年前に吠えた提案はどうだろう。

 代表チームの監督が皆から文句を言われるのは、一種の責務なのだ。セルジオ越後さんを筆頭に、サッカーライター達が4年前に岡田氏に投げかけた誹謗中傷を、同じようにザッケローニ氏に投げかけている。まあ、恒例行事だな。
 そう言う訳で、この2連敗についても、そうは心配はしてない。ちょっと気になるのはザッケローニ氏の表情が暗い事。岡田氏は、悲観論を騒ぎ立てる報道陣をアタマからバカにしているのが見え見えで、安心感があった。実はザッケローニ氏は、岡田氏以上に老獪で、わざと深刻な表情をしているだけだったらば、心配いらないのだが。
posted by 武藤文雄 at 00:37| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>オシム爺さんのアジアカップの焦燥感・・・

あの発言にはいつもの人を食ったような発言がなかったよね。

ザクはコンバインドチームの経験初めてだろ。
Posted by at 2013年10月17日 01:32
オシムで思い出したが、エディージョーンズも脳梗塞か・・・。
日本ラグビーって、つくづく運がないなぁ。
あ、昔、何の努力もしないで人気が出て、当時サッカーをさんざん馬鹿にしてきた因果応報か?
Posted by at 2013年10月17日 01:36
武藤さんはいつも泰然自若とされていて頼もしいです。

『岡田氏は、悲観論を騒ぎ立てる報道陣をアタマからバカにしているのが見え見えで、安心感があった。』爆!

個人的には攻撃陣はそれほど心配してないです。

が、DF人の方々。
さすがに、もう、今から、斬新なメンバーはないと思うのですが。吉田麻也選手、クラブチームであの状況でだいじょうぶなのでしょうか。。

今後も楽しい講釈楽しみにしております。
Posted by at 2013年10月17日 07:44
岡田監督は代表監督就任前のクラブ監督時代に、リアリズムに徹するサッカーで、常に結果を出し続けてきた監督。

ザック監督はクラブ監督時代に、3-4-3で結果を出して出世したものの、その後はなかなか結果が出せなかった監督。



つまり、二重の意味で四年前と同じことになる可能性は低い。というか見通しが立たない。ザック本人が追い込まれてるのも当然の流れ。
Posted by at 2013年10月17日 10:23
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