フライングV メダリオンへの憧れ ～その1～
ギブソンがエポックメイキングなボディシェイプで開発したフライングVは、軽量かつブリリアントなコリーナをボディー材として1958年に発表されました。
しかし、当時「モダニスティック」と呼ばれたそのラディカルさから、残念ながらこのボディシェイプは1年ほどでディスコンとなります。10年後の1967年には、マホガニー単板ボディーにショートヴァイブローラという新しいスペックで復活しますが、それも短命に終わっています。
アンディ・パウエルやKK・ダウニング、ルドルフ・シェンカーなど、この時期のフライングＶのファンはたくさんいますし、ジミ・ヘンドリックスでさえ、この時期をベースとするフライングＶをサイケデリックにペイントして使っていましたから、ロック･ミュージシャンからの支持は相当だったようで、ディスコンされる度にその魅力がクローズアップされてきました。
今回は、さらに1967年モデルからわずか4年後の1971年にファイアーバードと同時進行で限定生産されたメダリオンとよばれるチェリーレッドのフライングVを復刻します。グレコでも当時コピーされていましたから、想い出深いファンも多いと思います。仕様的には、さらに3年後の1974年にLimited Editionとして復刻されたナチュラルのフライングVと、ボディーカラー以外では共通項が多いモデルです。
さて、ベースとなるチェリーレッドのVは、本来はセンター2ピースであるべきですが、現行のヒスコレを含めたギブソンのラインナップに「チェリーレッドでセンター2ピースのフライングV」を見ることはできません。ですので、比較的高品質でサウンドが良く、塗装が分厚くなる前の2001年以前のモデルをベースにチューニングすることにしました。
今回のポイントは、ヘッドのリシェイプ、クルーソンダブルリング、ABR-1、メダル搭載などです。ピックアップには、 HystericTee（T-Topレプリカ） を搭載して、70年代のノスタルジーに浸ります。このピックアップは、ルックスこそ60年代を彷彿とさせますが、マグネットは59PAFサイズですから、サウンドはかなり過激になるでしょう。
準備したパーツは次の通りです。
1. HystericTee T-Topレプリカハンバッカー ダブルブラック × 2
2. Gibson純正 ABR-1
3. Crazyparts コンバージョンアダプター
4. Crazyparts CrazyCap59
5. Kluson double ringペグ
6. Kluson コンバージョンブッシュ
7. Gibson純正 ソンブレロノブ
8. HystericBar特製メダリオン・メダル
チューニングは、MusiMagicの吉原さんです。
STEP 1
ヘッドは、ひと回り小ぶりにリシェイプします。サイドの角度に注目ください。この傾斜がかっこいいですね。
正面からみたところ、だいぶ頭の部分が鋭角で突き出ているので、ここは少し丸めます。
STEP 2
ペグは、ねじ込み式ブッシュのSchallerタイプが搭載されていますので、純正Klusonのダブルリングに交換します。ねじ穴が増えないのが嬉しいですね。ブッシュは、少し大きめのペグ穴に合わせて、コンバージョンブッシュです。
HighEのペグは、80年代のSchaller/Gibsonふたこぶペグ。突き出たツマミがかっこいい。
STEP 3
ピックアップとサーキットはHystericBarのHystericTee T-TopとCrazyCap59です。ポットは1つ余るので、予備としてとっておきます。トグルスイッチはそのまま使いましょう。せっかくなので、コントロールノブもソンブレロにして雰囲気を盛り上げます。写真はヴィンテージ・デッドストックを仮留しているので、全部VOLになっています（笑）
STEP 4
ブリッジはナッシュビル・チューン・O・マチックからABR-1に交換します。一気にブリッジ周りがスリムになった感じがします。今回は、Crazypartsから発売された、ポストをダイレクトにボディに埋め込める便利なアダプターを使います。
加工が面倒であれば、元のアンカーをそのまま使えるコンバージョンポストもあります。
STEP 5
最後にメダルの到着です。これはボディーに沈み込んだ形でねじ止めされているので、同じように掘込み加工をして、塗装し直しておきます。ボディーのセンターにフェイクラインをつけて仕上がり。
いかがでしょう、だいぶ71メダリオンっぽくなりそうです。ギブソンにも、ぜひ、ヒスコレで復刻して欲しいモデルの一つです。完成品は「フライングV メダリオンへの憧れ ～その2～」にて公開中！
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Gibson純正のNon-wire ABR-1（ニッケル）です。セットにはGibson ABR-1 Non-wire+Flat screw+Brass saddleとサムナットが含まれます。
HystericBarでは、Dave JohnsonのRebuild Les Paulに搭載するためのキットを、Crazyparts Andy Nowakと入念にセレクトし、バンブルビー/Luxe …
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（Text by 三ツ井忠）